
wear down は、物を少しずつすり減らすだけでなく、人の体力や気力をじわじわ削ったり、何度も説得して相手を根負けさせたりするときにも使える句動詞です。
ポイントは、一度に壊すのではなく、時間や繰り返しによって少しずつ弱くすること。靴底が毎日の歩行ですり減るように、プレッシャーや疲労で人の抵抗する力が小さくなるイメージです。
しゅみすけ(大山俊輔)
Contents
wear downの基本的な意味
wear down には、主に次の3つの使い方があります。
- 物を徐々にすり減らす・摩耗させる
- 人の体力・気力を徐々に弱らせる
- 説得や要求を続けて人を根負けさせる
活用は wear – wore – worn です。
- 現在形:wear down
- 過去形:wore down
- 過去分詞:worn down
- 進行形:wearing down
wearとdownから意味を理解する
動詞 wear には、「身につける」だけでなく、使用や摩擦によって「すり減る・消耗する」という意味があります。
down は、量・力・状態が低い方向へ進む感覚を加えます。したがって wear down は、「繰り返しの力で、元の厚さ・強さ・抵抗力が少しずつ下がる」と捉えられます。
このコアイメージが、人に使う「疲れさせる」「根負けさせる」にも広がっています。
意味1:物を徐々にすり減らす
靴底、タイヤ、石、歯などが、摩擦や長期間の使用で少しずつ薄くなる場面です。
Walking on concrete wears down the soles of your shoes.
コンクリートの上を歩くと、靴底がすり減ります。
The constant flow of water wore the rock down.
絶え間なく流れる水が、その岩を少しずつ削りました。
These tires have been worn down by years of use.
このタイヤは長年の使用ですり減っています。
他動詞と自動詞の語順
目的語を入れる場合は、次の2つの語順が可能です。
- wear down the surface
- wear the surface down
目的語が代名詞なら、間に置きます。
○ wear it down
× wear down it
一方、物そのものがすり減る場合は目的語なしで使えます。
The tread is wearing down.
タイヤの溝がすり減ってきています。
意味2:人の体力・気力を徐々に弱らせる
長時間の仕事、睡眠不足、ストレス、病気などが、人を少しずつ疲れさせる場面にも使えます。
The long hours are starting to wear me down.
長時間勤務で、だんだん疲れがたまってきました。
Weeks of uncertainty wore everyone down.
何週間も先が見えない状態が続き、全員が疲弊しました。
Don’t let one bad week wear you down.
一週間うまくいかなかったからといって、気持ちをくじかれないでください。
単に一時的に疲れたというより、負担が積み重なり、元気や抵抗力が少しずつ失われるニュアンスです。
意味3:説得を続けて根負けさせる
wear someone down は、頼み・議論・交渉などを繰り返して、相手が抵抗を続けられなくなる状態を表せます。
The kids wore me down, so I agreed to get a dog.
子どもたちに何度も頼まれて根負けし、犬を飼うことに同意しました。
He kept asking until he wore his manager down.
彼は上司が根負けするまで頼み続けました。
Don’t let the salesperson wear you down.
店員の押しに根負けしないようにしてください。
この用法では、説得力のある一言で相手が納得したというより、何度も働きかけて抵抗する力を削ったという響きがあります。
しゅみすけ(大山俊輔)
wear downとwear outの違い

| 表現 | 中心イメージ | よく使う場面 |
|---|---|---|
| wear down | 徐々に薄く・弱くする | 摩耗、気力低下、根負け |
| wear out | 使いすぎて寿命・力を使い切る | 使えなくなる、疲れ切る |
物に使う場合
The soles are wearing down.
靴底が徐々にすり減っています。
These shoes are worn out.
この靴は履きつぶされて、もう使えません。
wear down は変化の途中、wear out は使えない状態に近づいた、または完全に使えなくなった結果に焦点を置きやすい表現です。
人に使う場合
The stress is wearing me down.
ストレスで徐々に参っています。
I’m worn out.
私は疲れ切っています。
wear down は疲労が積み重なる過程、worn out はすでに疲れ切った状態を表します。詳しくは、wear outとworn outの意味・語順・使い方も確認してください。
wear downと似た表現の違い
exhaustとの違い
exhaust は、体力や資源を使い切ることを表す、やや強く改まった語です。
The trip exhausted me.
その旅行で私はへとへとになりました。
wear down は長い時間をかけて弱らせる過程を意識しやすく、exhaust は結果として力を使い果たしたことに焦点があります。
tireとの違い
tire は一般的な「疲れさせる」です。
The walk tired me out.
その散歩で疲れました。
「少しずつ精神的に参ってきた」という蓄積を伝えるなら wear down が向いています。
give inとの違い
give in は、本人が「抵抗をやめて折れる・譲る」ことに焦点があります。
They wore her down, and she finally gave in.
彼らが彼女を根負けさせ、彼女はついに折れました。
wear someone down は相手を弱らせる側、give in は折れる側を表します。
break downとの違い
break down は、機械が故障する、人が感情的に崩れる、物事を細かく分けるなどの意味があります。wear down のような「摩擦や負担による徐々の消耗」が必ず含まれるわけではありません。
日常会話で使える例文
仕事
Back-to-back meetings are wearing the team down.
会議が連続していて、チームが徐々に疲弊しています。
The negotiation wore both sides down.
その交渉で双方が疲弊しました。
She wore them down with a detailed proposal.
彼女は詳細な提案を繰り返し説明し、相手をついに納得させました。
恋愛・人間関係
His constant criticism is wearing her down.
彼の絶え間ない批判が、彼女の心を徐々に疲れさせています。
I said no at first, but they wore me down.
最初は断りましたが、何度も頼まれて根負けしました。
家庭・暮らし
Daily use will wear the finish down.
毎日使うと、表面の仕上げが徐々にすり減ります。
The noise is really wearing me down.
その騒音で本当にだんだん参ってきています。
日本人が間違えやすいポイント
worn downは受け身・状態を表す
I’m worn down. は「私は徐々に疲弊した状態です」。I wear down. ではありません。
She looked worn down after the long trial.
長い裁判のあと、彼女は疲弊しているように見えました。
「服を着る」のwearだけで考えない
wear は「着ている」以外に、「摩擦や使用で消耗する」という重要な意味があります。wear down、wear out、wear away などは、この消耗の意味から理解できます。
人を主語にすると意味が変わる場合がある
The pressure wore me down. は、プレッシャーが私を疲弊させたという意味です。
I wore him down. は、私が働きかけを続けて彼を根負けさせた、という意味になり得ます。誰が誰の抵抗力を削ったのか、目的語を確認しましょう。
簡単な英語で言い換えるなら
wear down がすぐ出てこなくても、次の基本表現で通じます。
- It’s making me tired.:それで疲れてきています。
- I’m losing energy.:だんだん元気がなくなっています。
- It’s getting thinner.:だんだん薄くなっています。
- They kept asking, so I said yes.:何度も頼まれたので、承諾しました。
- He finally gave in.:彼はついに折れました。
「根負けした」を簡単に伝えるなら、They kept asking, so I finally said yes. と状況を直接説明するのが分かりやすいでしょう。
まとめ
wear down の中心は、摩擦・疲労・繰り返しによって「少しずつ薄くする、弱くする」です。
- 物:徐々にすり減らす
- 人:体力や気力を徐々に弱らせる
- 交渉・お願い:人を根負けさせる
wear down は消耗の過程、wear out は使い切った・疲れ切った結果を意識すると使い分けやすくなります。
ほかの英熟語は、英熟語・定型表現の親記事から確認できます。









