
「新しい制度を起案する」「企画書を起案する」「契約書の案を起案する」。日本語ではどれも「起案する」と言えますが、英語では何を、どの段階まで作るのかによって表現が変わります。
文書の下書きを作るなら draft、必要な情報をそろえて作成するなら prepare、正式な文書としてまとめるなら draw up、案として相手に提示するなら propose が自然です。
「起案する」に完全対応する英語一語を探すのではなく、「まだ下書きなのか」「提出できる文書を作っているのか」「すでに案を提示したのか」を分けるのがポイントです。
Contents
「起案する」を表す主な英語表現
| 英語 | 中心的な意味 | 使う場面 | 代表例文 |
|---|---|---|---|
| draft | 最初の案・下書きを作る | 企画書、メール、規程、契約書 | I drafted the proposal. |
| prepare | 必要事項をそろえて作成する | 申請書、資料、計画、報告書 | She prepared the project plan. |
| draw up | 正式な文書として作り上げる | 契約書、規則、計画、合意書 | We drew up a new policy. |
| propose | 案として正式に提示する | 施策、変更、計画、解決策 | He proposed a new system. |
一番自然な表現は?
「起案する」の中心が文書の最初の案を作ることなら、draft が最も近い表現です。
I drafted a proposal for the new training program.
新しい研修制度の提案書を起案しました。
ただし、日本語の「起案する」には、情報を集め、文書を整え、社内へ提出する準備まで含まれることがあります。その場合は prepare a proposal のほうが自然です。
I’m preparing a proposal for management approval.
経営陣の承認に出す提案書を起案しています。
一方、会議で新しい施策そのものを「起案した」と言いたい場合、文書作成より提案行為が中心なので propose を使います。
しゅみすけ(大山俊輔)
日本語の「起案する」と英語の意味のズレ
日本の組織では、「起案する」が稟議書や決裁文書の作成を指すことがあります。担当者が案を作り、それを上司や関係部署へ回して承認を得る流れです。
英語では、この一連の流れを一つの動詞にまとめず、段階ごとに表します。
- 案の下書きを作る:draft a proposal
- 提出できるよう内容を整える:prepare a proposal
- 正式な文書に仕上げる:draw up a document
- 案を相手へ提示する:propose a plan
- 承認のために提出する:submit it for approval
したがって、「起案した」を英語にするときは、書類作成のどこまで進んだのかを明確にすると自然です。

各表現の使い方と語順
draft:下書き・原案を作る
draft+文書で「文書の最初の案を作る」です。draft は名詞で「草案・下書き」という意味にもなります。
I drafted the proposal yesterday.
昨日、その提案書を起案しました。
Could you draft a response to the client?
顧客への回答案を作ってもらえますか。
This is only the first draft.
これはまだ最初の草案です。
draft an idea とは通常言わず、proposal、contract、policy、email、response など、形のある文書を目的語に置くのが自然です。
prepare:必要事項をそろえて作成する
prepare+文書・資料で、内容を調べ、必要事項をそろえ、使える状態へ準備することを表します。
We are preparing a proposal for the board.
取締役会に提出する提案書を起案しています。
She prepared the documents for internal review.
彼女は社内確認用の書類を作成しました。
prepare は draft より範囲が広く、下書きだけでなく資料集めや体裁調整まで含められます。
draw up:正式な文書にまとめる
draw up は、契約書・規則・計画などを正式な形に作り上げる表現です。語順は draw up+名詞、代名詞なら draw it up です。
The legal team drew up the contract.
法務チームが契約書を起案しました。
We need to draw up a detailed action plan.
詳細な行動計画を作成する必要があります。
I’ll draw it up by Friday.
金曜日までに正式な文書にまとめます。
単なるメモや初期案なら draft、正式性のある文書へ仕上げるなら draw up が合います。
propose:案として提示する
propose は文書を作る動作ではなく、考え・計画・変更などを案として提示する動詞です。
We proposed a new approval process.
新しい承認手続きを起案・提案しました。
She proposed changing the schedule.
彼女は日程を変更する案を出しました。
語順は propose+名詞、propose doing、propose that+文 が使えます。propose to do は「自分が〜するつもりである」という別の意味になることがあるので注意しましょう。
場面別:「起案する」の英語例文
企画書を起案する
I drafted a project proposal.
プロジェクトの企画書を起案しました。
新しい社内規程を起案する
HR is drawing up a new workplace policy.
人事部が新しい社内規程を起案しています。
契約書を起案する
Our legal team prepared the first draft of the contract.
法務チームが契約書の最初の案を作成しました。
改善案を起案する
We proposed a way to improve the process.
業務プロセスの改善案を起案・提案しました。
承認用の文書を起案中
I’m preparing the document for approval.
承認に出す文書を起案しています。
独り言・英語日記
I need to finish the first draft today.
今日は最初の案を完成させないと。
I spent the morning preparing a proposal.
午前中は提案書の起案に時間を使いました。
「起案する」「立案する」「提案する」「稟議する」の違い
- 起案する:文書や案のたたき台を作る → draft / prepare
- 立案する:計画の内容や方法を組み立てる → develop / formulate a plan
- 提案する:作った案を相手へ提示する → propose / suggest
- 稟議する:案を社内承認の手続きへ回す → submit for approval
仕事の流れで並べると、「案を考える → 文書に起こす → 提案する → 承認に回す」となります。英語では各段階を別の動詞で表すため、起案をいつも propose と訳すわけではありません。
起案後に社内承認へ回す表現は、「稟議する」は英語で?で詳しく整理しています。上位者へ報告・判断を求める場合は、「上申する」は英語で?も参考になります。
この英語を知らなかったら?【しゅみすけ式】
draft、draw up、propose が出てこなくても、「何を作っているのか」「誰に見せるのか」「まだ完成前なのか」を基本語で説明できます。
I’m writing the first version.
最初の版を書いています。
I’m making a plan for the new project.
新しいプロジェクトの計画を作っています。
I wrote down my idea and sent it to my boss.
自分の案を書き、上司に送りました。
I’m putting the information into one document.
情報を一つの文書にまとめています。
「起案する」を無理に一語へ置き換えず、「案を書く」「文書を作る」「上司に見せる」と順番に言えば、仕事の状況は十分に伝わります。
しゅみすけ(大山俊輔)
よくある間違い
× make a proposal document
意味は推測できますが、文書の草案を作るなら draft a proposal、必要事項を整えて作成するなら prepare a proposal が自然です。
draftとproposeを同じ意味で使う
draft は文書を作る動作、propose は案を相手へ提示する動作です。
- I drafted a new policy.(新しい規程案を書いた)
- I proposed a new policy.(新しい規程を提案した)
× propose to change the rule を「変更を提案する」の唯一の形にする
変更案を提案するなら propose changing the rule や propose that we change the rule が明確です。propose to do は文脈によって「自分が〜するつもりだ」という意味になります。
draw upの代名詞の位置
名詞なら draw up the contract / draw the contract up の両方が可能です。代名詞は draw it up と間に置きます。
FAQ
Q1. 「起案書」は英語で?
proposal、draft proposal、approval request などが使えます。書類の目的に応じて選びます。社内承認を求める書類なら approval request が分かりやすいでしょう。
Q2. 「企画を起案する」は英語で?
文書の案を作るなら draft a proposal、企画内容を考えて整えるなら develop a plan、案として提示するなら propose a plan が自然です。
Q3. 「契約書を起案する」は?
draft a contract または draw up a contract と言えます。最初の草案なら draft、正式な文書へまとめるなら draw up が合います。
Q4. 「起案中」は英語で?
I’m drafting the proposal.、The document is being prepared. など、いま何を作っているかを具体的に表します。
Q5. 「起案者」は英語で?
一般的な一語を無理に当てず、the person who drafted the proposal や the proposal owner と役割を説明するのが自然です。制度上の正式名称がある場合は、その会社の呼称を使います。
まとめ
「起案する」は、文書の下書きを作るなら draft、必要事項をそろえて作成するなら prepare、正式な文書へまとめるなら draw up、案として提示するなら propose と表せます。
難しい表現が出てこなければ、I’m writing the first version. や I’m making a plan. と基本語へ分解しましょう。日本語一語に対応する英単語を探すより、「何を、どの段階まで作ったのか」を伝えることが大切です。








