
薄い紙のような渦巻き状の殻を抱えて、外洋を漂うカイダコ。英語ではpaper nautilus、またはargonautといいます。
英語名にはnautilusが入っていますが、オウムガイの仲間ではありません。カイダコは8本の腕を持つ正真正銘のoctopus(タコ)です。さらに、殻のように見えるものを作るのは雌だけで、体を守る本物の貝殻というより、卵を保護するeggcaseです。
この記事では、paper nautilusとargonautの発音・複数形・名前の由来から、雌だけが作る薄いeggcase、オウムガイとの違い、アオイガイとの関係、水族館や海辺で使える英語まで解説します。
Contents
カイダコは英語でpaper nautilus / argonaut
カイダコ=paper nautilus / argonautです。生物として分かりやすく伝えるならpaper nautilus、分類名や生物学的な文脈ではargonautがよく使われます。
- a paper nautilus:1匹のカイダコ
- paper nautiluses:複数のカイダコ
- an argonaut:1匹のカイダコ
- argonauts:複数のカイダコ
- a female argonaut:雌のカイダコ
- an argonaut eggcase:カイダコの卵殻
The paper nautilus is actually a type of octopus.
カイダコは、実はタコの一種です。
We found a delicate argonaut eggcase on the beach.
海岸で繊細なカイダコの卵殻を見つけました。
しゅみすけ(大山俊輔)
paper nautilusとargonautの発音・複数形
paper nautilusの発音は、アメリカ英語ならおおよそ/ˌpeɪ.pɚ ˈnɔː.t̬əl.əs/です。paperは「ペイパー」、nautilusは最初のNAUにアクセントを置き、「ノーティラス」に近いリズムで発音します。
argonautは、イギリス英語で/ˈɑː.ɡə.nɔːt/、アメリカ英語で/ˈɑːr.ɡə.nɑːt/などが目安です。最初のARにアクセントを置きます。
| 単数形 | 複数形 | 意味 |
|---|---|---|
| paper nautilus | paper nautiluses | カイダコ |
| argonaut | argonauts | カイダコ/アルゴー船の乗組員 |
| eggcase | eggcases | 卵を保護するケース |
paper nautilusの複数形はpaper nautilusesが明快です。paper nautiliという形も見かけますが、一般向けの英語ではnautilusesを使えば問題ありません。
argonautの語源はギリシャ神話の「アルゴー船の船乗り」
argonautは、ギリシャ神話で英雄イアソンとともに船Argoに乗り、金羊毛を求めて航海したArgonautsに由来します。
名前を分けると、Argo+nautです。-nautはギリシャ語の「船乗り」につながる要素で、nautilus・nautical・astronautにも同じ航海の感覚があります。
- Argo:神話に登場する船の名前
- Argonaut:アルゴー船の船乗り、冒険者、カイダコ
- nautical:航海の・船舶の
- astronaut:宇宙を航海する人=宇宙飛行士
- aquanaut:水中を探究する人
カイダコにargonautという名前が付いた背景には、かつて幅広い腕を帆のように広げて海面を航海すると考えられていたことがあります。実際には「腕を帆にして進む」という古い説明は正確ではありませんが、海を旅する船乗りのイメージが名前に残りました。
The name “argonaut” comes from the sailors of the ship Argo in Greek mythology.
argonautという名前は、ギリシャ神話のアルゴー船の船乗りに由来します。
paper nautilusはオウムガイではなくタコ

paper nautilusとchambered nautilusは、渦巻き状の白い構造物を持つ点では似ています。しかし、その正体も用途も異なります。
| 比較 | paper nautilus / argonaut | chambered nautilus |
|---|---|---|
| 日本語 | カイダコ | オウムガイ |
| 仲間 | タコの仲間 | オウムガイの仲間 |
| 腕・触手 | 8本の腕 | 多数の細い触手状の付属肢 |
| 白い構造 | 雌が作るeggcase | 雌雄とも持つtrue external shell |
| 内部 | ガス室に分かれていない | 多数のgas-filled chambersがある |
| 主な役割 | 卵の保護と浮力の補助 | 体の保護と浮力の維持 |
オウムガイの殻は、成長とともに作られるtrue external shell(本物の外殻)で、内部は多数の部屋に区切られています。一方、カイダコの薄い構造物にはオウムガイのようなガス室がありません。
An argonaut is an octopus, whereas a chambered nautilus is a different kind of cephalopod.
カイダコはタコですが、オウムガイは別の種類の頭足類です。
オウムガイ=nautilusの記事では、殻のchambers・siphuncle・buoyancyの仕組みを詳しく解説しています。
「殻」ではなくeggcase?雌だけが作る理由
カイダコの白く薄い構造は、日常的にはshellと呼ばれることもあります。しかし、オウムガイや巻貝の殻と区別して正確に説明するならeggcase、またはegg caseが適切です。
雌は2本の腕の先にある広い膜から物質を分泌し、薄く波打ったeggcaseを作ります。その内部に卵を産み付け、孵化するまで保護します。eggcaseは体そのものと一体になった殻ではなく、雌が作り出し、腕で保持する育児用の構造です。
- paper-thin:紙のように薄い
- fragile:壊れやすい
- ribbed:肋状の筋がある
- coiled:巻いた
- secrete:分泌する
- protect the eggs:卵を保護する
- brood chamber:育児室
The female secretes a paper-thin eggcase.
雌は紙のように薄い卵殻を作ります。
She keeps her eggs inside the eggcase.
雌はeggcaseの中に卵を保持します。
eggcaseには海面の空気を取り込んで浮力を得る働きもあります。つまり、見た目は貝殻に似ていますが、「卵を守る容器」と「外洋で姿勢や浮力を保つ装置」という二つの役割を持っています。
しゅみすけ(大山俊輔)
雄にはeggcaseがない|雌雄の大きさが大きく違う
カイダコのもう一つの大きな特徴は、sexual dimorphism(性的二形)が非常に目立つことです。大きなeggcaseを持つのは雌だけで、雄はeggcaseを作らず、雌よりはるかに小型です。
- female:雌
- male:雄
- sexual dimorphism:雌雄で姿や大きさが異なること
- much smaller than:~よりはるかに小さい
- lack an eggcase:eggcaseを持たない
The male argonaut is much smaller than the female.
雄のカイダコは雌よりはるかに小さいです。
Only females produce the characteristic eggcase.
特徴的なeggcaseを作るのは雌だけです。
海岸で白い「カイダコの殻」を見つけた場合、それは雌が作ったeggcaseです。雄のカイダコの殻が小さいのではなく、雄はそもそもeggcaseを作りません。
カイダコとアオイガイの違い
日本語では、カイダコ科・カイダコ属の仲間を広く「カイダコ」と呼びます。一方、アオイガイはその中の代表的な一種で、学名はArgonauta argo、英語ではgreater argonautやcommon paper nautilusと呼ばれます。
| 日本語 | 英語 | 範囲 |
|---|---|---|
| カイダコ類 | argonauts / paper nautiluses | Argonauta属の仲間を広く指す |
| アオイガイ | greater argonaut / common paper nautilus | Argonauta argoという一種 |
日本語名を英語へ変えるときは、「仲間全体の名前」なのか「特定の種の名前」なのかを意識すると、より正確に表現できます。
どこに住んでいる?pelagic octopusの意味
カイダコは熱帯・亜熱帯を中心とする外洋に暮らすpelagic octopusです。pelagicは「外洋性の・遠洋の」という意味で、海底で生活する多くのタコと違い、水中を漂いながら暮らします。
- pelagic:外洋性の
- open ocean:外洋
- tropical waters:熱帯の海
- subtropical waters:亜熱帯の海
- drift:漂う
- swim near the surface:海面近くを泳ぐ
Argonauts are pelagic octopuses that live in the open ocean.
カイダコ類は外洋に暮らす遠洋性のタコです。
Unlike many octopuses, they do not spend most of their time on the seafloor.
多くのタコと違い、海底で大部分の時間を過ごすわけではありません。
食材としてのpaper nautilus
カイダコは、英語圏で一般的な料理食材として知られている生き物ではありません。メニューでpaper nautilusやargonautを見かける機会はきわめて限られます。
海岸に漂着したeggcaseは美しいため収集されることがありますが、非常に薄く壊れやすいものです。観察するときはfragile eggcaseやdelicate shell-like structureと説明できます。
Please handle the eggcase carefully. It is extremely fragile.
eggcaseは非常に壊れやすいので、慎重に扱ってください。
水族館・海辺で使える英語例文
Is this a paper nautilus or a true nautilus?
これはカイダコですか、それとも本物のオウムガイですか?
Why is it called a paper nautilus?
なぜpaper nautilusと呼ばれるのですか?
Is that structure a shell or an eggcase?
あの構造は殻ですか、それともeggcaseですか?
Does only the female make the eggcase?
eggcaseを作るのは雌だけですか?
How does the argonaut maintain its buoyancy?
カイダコはどのように浮力を保つのですか?
The eggcase looks like a delicate piece of porcelain.
eggcaseは繊細な磁器のように見えます。
This is an octopus, even though its name contains “nautilus.”
名前にnautilusが入っていますが、これはタコです。
We found an empty paper nautilus eggcase washed ashore.
海岸に打ち上げられた空のカイダコのeggcaseを見つけました。
関連する海の生き物の英語
まとめ
- カイダコは英語でpaper nautilusまたはargonaut
- 名前にnautilusが入るが、正体は8本腕のoctopus
- paper nautilusの複数形はpaper nautiluses
- argonautはギリシャ神話の「アルゴー船の船乗り」に由来
- 白い薄い構造は本物の殻ではなく、雌が作るeggcase
- eggcaseを作るのは雌だけで、雄は雌よりはるかに小さい
- オウムガイの殻にはgas-filled chambersがあるが、カイダコのeggcaseにはない
- 外洋に暮らすpelagic octopus
- アオイガイはカイダコ類の一種で、英語名はgreater argonautなど
paper nautilusという英語名だけを見ると、オウムガイの仲間だと思ってしまいます。しかし、octopus・eggcase・female only・pelagicという4つの言葉を押さえれば、カイダコの不思議な生態を英語で正確に説明できます。









