
kiss up to someone は、「人にこびる」「ごまをする」「気に入られようとして過剰に持ち上げる」という意味の句動詞です。単に褒めるのではなく、自分に有利になることを期待して相手の機嫌を取る、という否定的なニュアンスを含みます。
He’s always kissing up to the boss.
彼はいつも上司にごまをすっています。
ここでの kiss は恋愛的な「キスをする」という意味ではありません。この記事では、kiss up toの感覚、語順、自然な例文、suck up to・butter someone up・flatterとの違いまで整理します。
Contents
kiss up toの基本的な意味
kiss up to someone の意味は、相手から好意や便宜を得るために、必要以上に褒めたり同意したりして「取り入る」ことです。主にアメリカ英語で使われるカジュアルな表現で、話し手はその行動をあまりよく思っていません。
- kiss up to the boss:上司にこびる
- kiss up to the teacher:先生に取り入る
- kiss up to influential people:影響力のある人にごまをする
She kissed up to the manager before asking for a better shift.
彼女はよりよい勤務シフトを頼む前に、マネージャーに取り入りました。
You don’t have to kiss up to anyone to be respected.
尊敬されるために、誰かにこびる必要はありません。
なぜkiss up toで「こびる」になるの?
kiss up は、相手を持ち上げて好意を得ようとする行動を表します。そこに to someone が続き、「誰に向かって取り入るのか」を示します。
文字どおり誰かにキスする場面ではなく、相手のそばに寄って大げさに敬意や好意を示すような比喩です。up には、ここでは行動を強め、相手との関係を自分に有利な方向へ持ち上げようとする感覚があります。ただし、句動詞は部品の意味だけから無理に直訳せず、kiss up to=こびて気に入られようとするというまとまりで捉えるのが実用的です。
しゅみすけ(大山俊輔)
語順はkiss up to someone|人はtoの後ろ
基本の語順は kiss up to+人 です。
He’s kissing up to his new supervisor.
彼は新しい上司に取り入ろうとしています。
Everyone noticed that Tom was kissing up to the client.
トムが顧客にこびていることに、みんな気づきました。
kiss someone up や kiss the boss up to とは言いません。目的の人物は必ず to の後ろに置きます。また、過去形は kissed up to、進行形は kissing up to です。
- 現在:He kisses up to the boss.
- 進行:He is kissing up to the boss.
- 過去:He kissed up to the boss.
ネイティブが感じるニュアンスと使うときの注意
kiss up toは、相手の態度を批判したり、少しからかったりするときに使います。「礼儀正しくする」「良好な関係を築く」という中立的な行動には普通使いません。
I thanked my manager for her help.
マネージャーの助けに感謝しました。
これは自然な感謝であり、kiss up toとは限りません。一方、昇進や特別扱いを期待して毎日のように不自然な賛辞を重ねるなら、kiss up toと見られる可能性があります。
本人に向かって Stop kissing up to the boss. と言うと、「ごますりはやめろよ」と直接批判する響きがあります。仕事では強すぎることがあるため、使う相手と場面に注意しましょう。
日常会話・仕事で使えるkiss up toの例文
職場
He keeps kissing up to the director because he wants a promotion.
彼は昇進したいので、部長にずっとごまをすっています。
I’d rather do good work than kiss up to management.
経営陣にこびるより、よい仕事をしたいです。
学校
Some students kiss up to the teacher before grades are posted.
成績が発表される前に先生に取り入る生徒もいます。
She isn’t kissing up to him. She genuinely respects him.
彼女は彼にこびているのではありません。本当に尊敬しているのです。
友人関係
Are you complimenting me, or are you just kissing up to me?
私を褒めているの?それとも、ただご機嫌を取っているだけ?
He suddenly started kissing up to everyone on the committee.
彼は突然、委員会のみんなに取り入り始めました。
kiss up to・suck up to・butter up・flatterの違い

kiss up to someone|こびて気に入られようとする
カジュアルで否定的ですが、suck up to よりやや柔らかく聞こえることがあります。北米でよく見聞きする表現です。
suck up to someone|露骨にこびる
suck up to も同じ語順で、より露骨で強い非難を感じさせることがあります。
He’s sucking up to the coach.
彼はコーチに露骨にごまをすっています。
butter someone up|褒めて頼みを通そうとする
butter someone up は、頼みごとなどの前に相手を褒めて気分をよくさせるイメージです。語順は butter+人+up で、kiss up toとは異なります。
She buttered her dad up before asking to borrow the car.
彼女は車を借りる前に、お父さんを褒めてご機嫌を取りました。
flatter someone|お世辞を言う
flatter は「お世辞を言う・相手をうれしくさせる」です。文脈によって下心を含みますが、kiss up toほど必ずしも「利益のために取り入る」とは限りません。
I’m flattered.
お世辞でもうれしいです。/そう言ってもらえて光栄です。
日本人が間違えやすいポイント
- 恋愛的なキスではない:kiss up toを文字どおりの動作として解釈しない
- toを落とさない:kiss up to someoneが基本
- 人を途中に入れない:kiss someone upではない
- 中立的な「仲よくする」には使わない:否定や皮肉を含みやすい
- butter upとは語順が違う:kiss up to him/butter him up
kiss up toが出てこないときの簡単な言い換え
この句動詞を思い出せなくても、相手がしている行動と目的を基本語で説明できます。
- He always says nice things to his boss.
彼はいつも上司にいいことばかり言います。 - She wants the manager to like her.
彼女はマネージャーに気に入られたがっています。 - He agrees with her because he wants something.
彼は何か欲しいものがあるので、彼女に同意しています。
「こびる」を一語にしようとせず、何を言うのか+なぜそうするのかに分ければ十分伝わります。
しゅみすけ(大山俊輔)
短い会話で使い方を確認
A: Why is Ken praising the boss so much today?
A:どうしてケンは今日、あんなに上司を褒めているの?
B: He’s probably kissing up to her. He wants Friday off.
B:たぶんご機嫌を取っているんだよ。金曜日に休みたいんだ。
A: That makes sense.
A:なるほどね。
関連する英語表現
- 「機嫌を取る」は英語で?keep happy・cheer up・butter upの違い
- 英語で「ごますり」は「りんご磨き」?apple-polishingなどの慣用句
- kiss offの意味と使い方
- 英熟語・定型表現の一覧
まとめ
kiss up to someone は、「自分に有利になるよう、人にこびる・ごまをする・取り入る」という否定的な口語表現です。語順は kiss up to+人。より強く非難する suck up to、褒めて頼みを通そうとする butter someone up との違いも押さえておきましょう。
自分で使うときは批判的に響く点に注意し、出てこなければ He wants his boss to like him. のような簡単な文で言い換えれば十分です。









