
knock back は、くだけた英語で「飲み物をぐっと飲む」「人にある金額の費用を負担させる」「提案や申請を退ける」という意味を表します。
特に後ろ2つの用法はイギリス英語を中心に使われるため、アメリカ英語だけに慣れていると意味を取りにくいことがあります。
中心にあるのは、back=勢いよく後ろへ戻す・元へ押し返すというイメージです。飲み物を喉の奥へ流し込む、出したお金によって財布の状態が後退する、提出された案を相手へ返す、と考えると意味がつながります。
この記事では、knock back の主な意味、自然な語順、地域差、knock down・knock off・set back・turn down との違いを例文とともに解説します。
Contents
knock backの基本イメージ
knock は「たたく・強い動きを与える」、back は「後ろへ・元の方向へ」を表します。物理的には「衝撃で後ろへ押し戻す」という組み合わせです。
The force of the wave knocked him back.
波の力で彼は後ろへ押し戻されました。
この「勢いよく戻す・押し返す」という感覚から、口語では次の意味へ広がります。
- 飲み物を喉の奥へ一気に流し込む
- 出費によって所持金を後退させる
- 提案・申請などを相手へ押し返す
しゅみすけ(大山俊輔)
knock backの3つの主な使い方

1.飲み物をぐっと飲む・一気に飲む
knock back a drink は、飲み物を短時間で勢いよく飲む口語表現です。水やコーヒーなどにも使えますが、実際の会話ではビールやショットなどのアルコールについて使われることも多くあります。
He knocked back a glass of water and ran out the door.
彼は水を一杯ぐっと飲み、玄関から走り出ました。
She knocked back her coffee before the meeting.
彼女は会議の前にコーヒーをさっと飲み干しました。
They were knocking back drinks all evening.
彼らは夕方ずっと、次々と酒を飲んでいました。
「一口飲む」のではなく、比較的素早く飲み干す、または次々に飲む勢いが感じられます。中立的に「飲み干す」と言うなら finish a drink、動作を明確にするなら drink it quickly が分かりやすい表現です。
2.人にある金額の費用がかかる
イギリスのくだけた会話では、物・出来事+knock+人+back+金額 で、「その人に〜の費用がかかる」という意味になります。
The repair knocked me back £200.
その修理には200ポンドかかりました。
How much did the new phone knock you back?
その新しいスマートフォンはいくらしたの?
Dinner knocked us back nearly £100.
夕食代は100ポンド近くかかりました。
単に値段を伝える cost よりも、「財布への痛い出費だった」という口語的な響きを持つことがあります。
The repair cost me £200.
その修理には200ポンドかかりました。
cost は地域を問わず使える中立的な言い方です。学習者が自分で話すときは、まず cost を使えば十分です。
3.提案・申請・依頼を退ける
knock back a proposal/request/application は、提出された案などを受け入れず「退ける・却下する」という、主にイギリスやオーストラリアなどで見られる口語表現です。
The board knocked back our proposal.
取締役会は私たちの提案を退けました。
Her application was knocked back.
彼女の申請は却下されました。
They knocked back my request for extra time.
彼らは期限延長の依頼を断りました。
受け身の be knocked back もよく使われます。正式な文書や地域差を避けたい場面では、reject、会話では turn down が一般的です。
語順と文型を意味ごとに整理
knock back は、意味によって文型が変わります。
飲む:knock back+飲み物
He knocked back the juice.
彼はジュースをぐっと飲みました。
目的語が代名詞なら間に置くこともできます。
He knocked it back.
彼はそれをぐっと飲みました。
費用:物+knock+人+back+金額
The tickets knocked us back £80.
チケット代は私たちに80ポンドかかりました。
この用法では、支払う人を knock と back の間に置き、その後ろに金額を続けます。
却下:knock back+提案・申請
They knocked back the offer.
彼らはその申し出を断りました。
The offer was knocked back.
その申し出は断られました。
代名詞なら They knocked it back. と間に置けます。ただし、この一文だけでは「それを飲んだ」「それを断った」のどちらか分からないため、文脈が必要です。
しゅみすけ(大山俊輔)
knock backと似た表現の違い
knock back a drinkとdrink・gulp・chug
- drink:飲むという最も中立的な基本語
- knock back:くだけた表現で、勢いよく短時間で飲む
- gulp down:大きく飲み込む動作に焦点がある
- chug:飲み物を一気に、または連続してごくごく飲む非常に口語的な語
He gulped down some water after the run.
彼は走ったあと、水を勢いよく飲みました。
丁寧さや地域差を気にせず伝えるなら、drink quickly が簡単です。
knock someone backとset someone back
費用の意味では、set someone back+金額 もよく使われます。
The laptop set me back $1,200.
そのノートパソコンには1,200ドルかかりました。
set someone back はアメリカ英語を含め幅広く使われます。knock someone back は、よりイギリス的でくだけた響きです。どちらも「かなりの出費だった」という印象を伴うことがあります。
knock backとturn down・reject
- knock back:主にイギリス系のくだけた表現。提案などを押し返す
- turn down:申し出・依頼・誘いなどを断る一般的な会話表現
- reject:申請・提案・主張などを正式に受け入れない
She turned down the job offer.
彼女はその仕事のオファーを断りました。
The bank rejected my application.
銀行は私の申請を却下しました。
knock backとknock down
knock down は、人・木などを倒す、建物を取り壊す、価格を下げる表現です。back は後方・元へ押し返す、down は下の状態へ移す、という違いがあります。
The wind knocked down a tree.
風で木が倒れました。
詳しくはknock downの意味・使い方をご覧ください。
knock backとknock off
knock off は「やめる」「仕事を切り上げる」「金額を差し引く」「模倣品を作る」などの意味です。費用について、knock £20 off は20ポンド値引く、knock me back £20 は私に20ポンドかかるため、意味が反対方向になります。
They knocked £20 off the price.
価格から20ポンド引いてくれました。
It knocked me back £20.
それに20ポンドかかりました。
詳しい用法はknock offの意味・使い方で解説しています。
日本人が間違えやすいポイント
knock backを「後ろをノックする」と直訳しない
ここでの back は名詞の「背中」ではなく、副詞の「後ろへ・元へ」です。「飲む」「費用がかかる」「退ける」は、文の目的語と語順から判断します。
費用の主語を人にしない
「私は50ポンド払った」から考えて、I knocked back £50. とすると、通常は費用の意味になりません。費用を生じさせた物を主語にします。
The meal knocked me back £50.
その食事には50ポンドかかりました。
簡単に言うなら I paid £50 for the meal. または The meal cost me £50. です。
アメリカ英語の相手に無理に使わない
knock back の全ての用法が同じ頻度で世界中に使われるわけではありません。費用や却下の意味では、相手によっては cost・set back・turn down・reject のほうがすぐ理解されます。
すぐ出てこないときの簡単な言い換え
- 飲み物をぐっと飲む:drink it quickly
- 50ポンドかかった:It cost me £50.
- 提案を退けた:They said no to the proposal.
- 申請が却下された:They didn’t accept my application.
They said no to my idea.
彼らは私の案にノーと言いました。
reject や turn down が出てこなくても、say no to や not accept を使えば、意図を直接伝えられます。
会話で使えるknock backの例文
A: Are you ready to leave?
A:出発の準備はできた?
B: One second. Let me knock back this water.
B:ちょっと待って。この水をさっと飲ませて。
A: Was the repair expensive?
A:修理代は高かった?
B: Yes. It knocked me back £300.
B:うん。300ポンドかかったよ。
A: Did the committee accept your proposal?
A:委員会はあなたの提案を受け入れた?
B: No, they knocked it back.
B:いや、退けられたよ。
まとめ
knock back の中心は、「勢いよく後ろへ戻す・元へ押し返す」という感覚です。
- knock back a drink:飲み物をぐっと飲む
- It knocked me back £50.:それに50ポンドかかった
- knock back a proposal:提案を退ける
- an application was knocked back:申請が却下された
- 費用・却下の用法は、主にくだけたイギリス系の英語
意味が多く地域差もあるため、自分で使うときは drink quickly・cost・turn down・reject などの直接的な表現も選択肢に入れましょう。ほかの句動詞も体系的に学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧もご覧ください。
ほかのknock表現もまとめて学びたい方は、「knockを使った句動詞一覧」で、意味・使い方・語順の違いを体系的に確認できます。









