
muddle through は、「十分な知識や準備、はっきりした計画がない状態でも、手探りで何とか最後までやり遂げる」という意味の句動詞です。
単に「困難を乗り切る」と訳すだけでは、muddle through が持つ「やり方は洗練されていない」「完璧ではないけれど、どうにか結果は出す」というニュアンスが見えにくくなります。
この記事では、muddle through の意味がなぜ生まれるのか、自然な語順、日常会話や仕事で使える例文、そして get through・get by・pull through との違いを詳しく解説します。
Contents
muddle throughの意味は「手探りで何とかやり遂げる」
muddle through の中心的な意味は、次のとおりです。
- 混乱しながらも何とかやり遂げる
- 準備不足のまま、どうにか乗り切る
- 上手ではない方法でも最後まで進む
ポイントは、ただ成功するのではなく、本人も正しい進め方を完全には分かっていないことです。途中で迷ったり、試行錯誤したりしながら、それでも仕事や課題を終わらせます。
We didn’t really know what we were doing, but we muddled through.
何をしているのか自分たちでもよく分かっていませんでしたが、何とかやり遂げました。
この文には、「完璧な出来ではなかったかもしれないが、結果的には切り抜けた」という少し控えめで、人間味のある響きがあります。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜmuddle throughでこの意味になる?
muddleは「頭や状況がごちゃごちゃする」
muddle には、「混乱させる」「ごちゃごちゃにする」「混乱した状態で行動する」という感覚があります。頭の中も手順も整理されておらず、すっきりした道筋が見えていないイメージです。
throughは「途中を通って向こう側まで」
through は、トンネルや困難の中を通り、反対側まで抜ける感覚を加えます。
そのため、muddle through は次のように理解できます。
muddle(混乱しながら進む)+ through(最後まで通り抜ける)
→ 混乱したやり方でも、どうにか最後までたどり着く
句動詞の副詞・前置詞が加えるイメージを整理したい方は、be-rize.comの英語の句動詞をコアイメージで理解する方法も参考になります。
muddle throughの語順と文法
1.目的語なしで使う
何を乗り切ったのかが会話の流れで分かるときは、目的語を置かずに使えます。
It wasn’t easy, but we muddled through.
簡単ではありませんでしたが、私たちは何とか乗り切りました。
Don’t worry. We’ll muddle through somehow.
心配しないで。何とかやっていけるよ。
somehow(どうにか)と一緒に使うと、「具体的な方法はまだ分からないが、何とかする」という気持ちがよりはっきり伝わります。
2.muddle through+名詞
何をやり遂げたのかを明示するときは、muddle through + 仕事・期間・状況の形にします。
I muddled through the presentation with only a few notes.
数枚のメモだけで、そのプレゼンを何とか乗り切りました。
She muddled through her first week at the new job.
彼女は新しい職場での最初の1週間を手探りで何とか乗り切りました。
through を後ろへ動かして muddle the presentation through のようにはしません。muddle through をひとまとまりとして覚えましょう。
3.活用形
- 現在形:muddle through / muddles through
- 過去形・過去分詞:muddled through
- 進行形:muddling through
I’m still muddling through the new software.
まだその新しいソフトを手探りで使っているところです。
仕事で使うmuddle throughの自然な例文
None of us had run an online event before, but we muddled through.
オンラインイベントを運営した経験は誰にもありませんでしたが、何とかやり遂げました。
I forgot half of my talking points, so I just muddled through the meeting.
話す要点を半分忘れてしまったので、会議はその場で何とか乗り切りました。
We muddled through the first month without a proper manual.
きちんとしたマニュアルがないまま、最初の1か月をどうにか乗り切りました。
He isn’t comfortable with spreadsheets yet, but he’s muddling through.
彼はまだ表計算ソフトに慣れていませんが、何とか使っています。
仕事の場面では、自分たちの進め方が完璧ではなかったことを認めつつ、「それでも止まらずに終えた」と伝えるときに自然です。ただし、正式な報告書や重要な顧客への説明では、頼りなく聞こえる場合があります。
日常会話・学習・旅行での例文
学校・学習
I hadn’t studied enough, but I muddled through the oral exam.
勉強が足りていませんでしたが、口頭試験は何とか切り抜けました。
My French is basic, but I can usually muddle through.
私のフランス語は初歩的ですが、たいてい何とか用は足せます。
海外旅行
We couldn’t read the menu, but we muddled through with pictures and gestures.
メニューは読めませんでしたが、写真とジェスチャーで何とか注文しました。
I muddled through the train reservation using a translation app.
翻訳アプリを使って、列車の予約を何とか済ませました。
家庭・暮らし
I’ve never fixed a sink before, but I think I can muddle through.
流し台を直したことはありませんが、何とかできると思います。
We lost the recipe halfway through, so we muddled through the rest.
途中でレシピをなくしたので、残りは手探りで何とか作りました。
人間関係
It was an awkward conversation, but we muddled through it.
気まずい会話でしたが、私たちは何とか最後まで話しました。
Neither of us knew what to say, so we just muddled through.
二人とも何と言えばいいか分からず、とにかく何とか会話を続けました。
muddle throughと似た表現の違い

muddle throughとget throughの違い
get through は、難しい仕事・試験・時期などを「終える」「切り抜ける」ことに焦点があります。どのような方法で進めたかまでは、必ずしも伝えません。
muddle through は、混乱や準備不足があり、手探りだったことまで含みます。
I got through the presentation.
プレゼンを終えました。
I muddled through the presentation.
プレゼンを手探りで何とか乗り切りました。
前者は結果を比較的中立に伝え、後者は「うまいやり方ではなかった」という背景を加えています。
muddle throughとget byの違い
get by は、お金・知識・能力などが十分でなくても「生活していく」「必要最低限をこなす」という継続的な状況によく使います。
muddle through は、特定の仕事や状況を、混乱しながら最後まで進める場面に向いています。
We can get by on one salary.
給料1人分で何とか生活できます。
We muddled through the move without a checklist.
チェックリストなしで、引っ越しを手探りで何とか済ませました。
muddle throughとpull throughの違い
pull through は、重い病気・事故・深刻な危機から「回復する」「生き延びる」という意味で使われます。
muddle through は、進め方の混乱や不器用さが中心です。命に関わるほどの危機でなくても使えます。
She pulled through after the operation.
彼女は手術後の危機を乗り越えて回復しました。
She muddled through her first day back at work.
彼女は職場復帰初日を手探りで何とか乗り切りました。
muddle throughとmake do withの違い
make do with は、理想的な物がなくても「手元にある物で間に合わせる」という意味です。
We made do with two chairs.
椅子2脚で間に合わせました。
We muddled through the workshop with no projector.
プロジェクターなしで、その研修を手探りで何とか進めました。
make do with は「何を代用品として使うか」、muddle through は「混乱しながらどうにか完了するか」に注目しています。
日本人が間違えやすいポイント
「見事に成功した」という意味ではない
muddle through は最終的に失敗したとは限りませんが、鮮やかな成功を表す言葉でもありません。高い完成度や計画的な成功を強調したいなら、handle it well や complete it successfully のほうが合います。
困難なら何でもmuddle throughとは限らない
単に大変だっただけで、十分に準備して計画どおり進めたなら、muddle through の「混乱・手探り」という含みが合いません。その場合は get through が自然です。
相手の成果に使うと失礼になることがある
You muddled through the project. と相手に言うと、「やり方は雑だったけれど終わらせたね」と評価しているように響くことがあります。自分の経験を控えめに語るときや、仲間内で状況を共有するときのほうが使いやすい表現です。
しゅみすけ(大山俊輔)
muddle throughが出てこないときの簡単な言い換え
会話中に muddle through が思い出せなくても、難しく考える必要はありません。中学英語を中心に、状況を直接説明すれば十分に伝わります。
We didn’t have a clear plan, but we finished it.
明確な計画はありませんでしたが、終わらせました。
I wasn’t ready, but I managed.
準備できていませんでしたが、何とかやりました。
I didn’t know how to do it, but I got it done.
やり方は分かりませんでしたが、何とか終わらせました。
It wasn’t perfect, but we made it through.
完璧ではありませんでしたが、何とか切り抜けました。
特に manage は「何とかする」を広く伝えられる便利な基本動詞です。詳しい使い方はmanage to doの意味と使い方でも確認できます。
muddle throughを会話で使うための型
まずは、次の3つの型をそのまま声に出して練習してみましょう。
- We didn’t know how, but we muddled through.
やり方は分かりませんでしたが、何とかやり遂げました。 - I muddled through + 仕事・課題.
私は〜を手探りで何とか終えました。 - We’ll muddle through somehow.
私たちはどうにか乗り切るでしょう。
自分が最近「準備不足だったけれど終えたこと」を1つ当てはめると、表現が記憶に残りやすくなります。
まとめ
muddle through は、「知識・準備・計画が十分でなくても、混乱しながら手探りで何とかやり遂げる」という句動詞です。
- muddle は「混乱した状態で進む」
- through は「途中を通って最後まで抜ける」
- 目的語なしでも、muddle through + 名詞でも使える
- get through より「やり方が不器用・手探り」という含みが強い
- get by は限られた条件で生活する、pull through は危機から回復する
- 相手の成果に使うと批評的に響くことがある
完璧ではなくても前へ進んで終わらせた経験を話すとき、We muddled through. を使ってみてください。
ほかの句動詞や定型表現もまとめて学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧をご覧ください。









