
人生を立て直すとき、最初から強くなくてもいい。怖くても、傷ついていても、次の一歩だけは選べる――。作家シェリル・ストレイド(Cheryl Strayed)の言葉は、そんな現実的な勇気を教えてくれます。
母との死別、離婚、薬物依存を経験したのち、彼女はパシフィック・クレスト・トレイルを一人で歩きました。その旅を書いた回想録『Wild』は、映画『わたしに会うまでの1600キロ』にもなっています。この記事では、喪失・勇気・書くこと・再出発に関する英語の名言7つを、日本語訳と初心者向け英語解説つきで紹介します。
映画から作品世界へ入りたい方は、『わたしに会うまでの1600キロ』で英語学習もあわせてどうぞ。
Contents
シェリル・ストレイドとは?
シェリル・ストレイドは、アメリカの作家・エッセイスト・ポッドキャスト司会者です。26歳だった1995年、十分な登山経験がないまま、アメリカ西海岸を縦断するパシフィック・クレスト・トレイルを約1,100マイル歩きました。
その経験を綴った『Wild: From Lost to Found on the Pacific Crest Trail』は世界的ベストセラーとなり、リース・ウィザースプーン主演で映画化されました。悩み相談「Dear Sugar」をまとめた『Tiny Beautiful Things』でも、正論を押しつけず、痛みを知る人の言葉で多くの読者を支えています。
シェリル・ストレイドの英語の名言7選
1.勇気とは、怖くても行動すること
Being courageous is feeling the fear and doing the scary thing anyway.
勇気があるとは、恐れを感じながらも、それでも怖いことをすることです。
勇気のある人には恐れがない、という意味ではありません。ストレイド自身も「私はほかの人より勇敢なわけではない」と語っています。恐れを連れたまま行動することが勇気なのです。
英語ポイント:anyway は「それでも」。do the scary thing は「怖いことをする」というシンプルな表現です。
初心者向け例文:I’m scared, but I’ll try anyway.(怖いですが、それでもやってみます。)
2.体は痛んでも、心は痛まなかった
Everything hurt, except my heart.
すべてが痛みました。心以外は。
重い荷物を背負い、孤独に山を歩いた日々についての言葉です。足も肩も痛む厳しい旅でしたが、身体の苦しさが、かえって傷ついた心を前へ運んでくれました。
英語ポイント:except は「〜を除いて」。Everything … except … で「〜以外はすべて」です。
初心者向け例文:Everyone came except Tom.(トム以外は全員来ました。)
3.痛みの中でも、前へ進める
I can continue moving forward even when it hurts.
痛むときでさえ、私は前へ進み続けられます。
癒やしとは、悪い出来事が消えることではありません。忘れることでもありません。痛みを抱える力を身につけ、一歩ずつ前へ進めるようになることだと、ストレイドは語っています。
英語ポイント:continue -ing は「〜し続ける」。even when … は「〜のときでさえ」です。
初心者向け例文:Keep going even when it’s hard.(大変なときでも進み続けて。)
4.書くことは、人生で最も自分を癒やした行為
Writing has been the single-most healing act of my life.
書くことは、私の人生で最も大きな癒やしとなった行為です。
自分の体験を正直に書くと、恥や拒絶への恐れが出てきます。しかし、最も個人的な真実を書いたとき、同じ痛みを知る人が集まり、「私もです」と言ってくれる。そのつながりが、彼女の癒やしになりました。
英語ポイント:has been は、過去から今まで続く経験を表す現在完了。healing は「癒やしになる」です。
初心者向け例文:Writing has been helpful to me.(書くことは私の助けになってきました。)

5.いま知っていることから始めればいい
You begin with what you know and what you know changes.
あなたは、いま知っていることから始めます。そして、知っていることは変わっていきます。
若い自分の日記を読み返したストレイドがたどり着いた言葉です。当時の自分には当時の理解しかありません。人生を進むなかで、同じ出来事の意味も、自分自身の見え方も変わっていきます。
英語ポイント:begin with … は「〜から始める」。what you know は「あなたが知っていること」です。
初心者向け例文:Start with what you have.(いま持っているものから始めて。)
6.自分の心を傷つける決断にも、勇気が要る
Be brave enough to break your own heart.
自分自身の心を傷つけるほどの決断をする勇気を持って。
愛している相手と別れたいと思うことは、ひどい人間である証拠ではありません。関係の条件を変えたいという、自分の真実かもしれない。誰かを傷つけないために自分を失い続けるのではなく、苦しい選択を引き受ける勇気を語った言葉です。
英語ポイント:be brave enough to … は「〜するだけの勇気を持つ」。break one’s heart は「心を傷つける」です。
初心者向け例文:Be brave enough to say no.(ノーと言う勇気を持って。)
7.選択肢は一つ――歩き続けること
I considered my options. There was only one, I knew. To keep walking.
私は選択肢を考えました。答えは一つしかないと分かっていました。歩き続けることです。
人生全体の答えが分からなくても、次の一歩なら選べます。遠いゴールを一気に解決するのではなく、今日できる一歩を重ねる。その現実的な強さが『Wild』を貫いています。
英語ポイント:consider one’s options は「選択肢を検討する」。keep -ing は「〜し続ける」です。
初心者向け例文:There is only one thing to do: keep going.(やることは一つだけ。進み続けることです。)
シェリル・ストレイドの言葉から学べる3つのこと
- 勇気は、恐れが消えた後ではなく、恐れの中で使うもの。
- 癒やしは、痛みを消すことではなく、抱えて歩けるようになること。
- 人生全体が見えなくても、次の一歩は選べる。
書くことで自分の声を取り戻す実践なら、ジュリア・キャメロンの英語の名言7選もおすすめです。キャメロンの「毎朝書く」と、ストレイドの「真実を書く」は違う入口から同じ回復へつながっています。
名言から覚えたい英語表現
- do it anyway:それでもやる
- except …:〜を除いて
- continue moving forward:前へ進み続ける
- begin with …:〜から始める
- be brave enough to …:〜するだけの勇気を持つ
- keep walking:歩き続ける
まとめ|強いから歩くのではなく、歩くことで強さを取り戻す
シェリル・ストレイドは、人生が整ってからトレイルへ出たわけではありません。むしろ、自分の人生を壊したと思っていたときに歩き始めました。強さを証明する旅ではなく、身体の一歩一歩から、自分の中に残っていた強さを思い出す旅でした。
I can continue moving forward even when it hurts.
人生にも英語学習にも、痛みや迷いがない完璧な出発点はありません。今日の一歩が小さくても、歩き続けることで道になります。
参考資料
- Cheryl Strayed公式サイト
- Oprah:Cheryl Strayed Interview about Wild
- Point of Relation:Writing the Story of Your Healing
- Cheryl Strayed:What You Know Changes









