
大切な人との別れ、仕事や役割の変化、子どもの独立。人生の後半には、言葉にしにくい「喪失」と向き合う場面があります。そんなとき、悲しみを急いで消そうとせず、そこからもう一度生きる力を見つけるヒントをくれるのが、精神科医エリザベス・キューブラー=ロスの言葉です。
今回は、英語初心者にも味わいやすい7つの名言を、自然な日本語訳と英語表現のポイントつきで紹介します。
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エリザベス・キューブラー=ロスとは?
エリザベス・キューブラー=ロス(1926–2004)は、スイス生まれの精神科医です。終末期の患者の声に正面から耳を傾け、1969年の著書 On Death and Dying で知られるようになりました。彼女が示した「否認・怒り・取引・抑うつ・受容」は、死にゆく患者との対話から生まれた理解の枠組みです。
ただし、この5つは誰もが同じ順番で通るチェックリストではありません。キューブラー=ロス自身の名を継ぐ財団も、感情を理解するための道具であり、一直線の時間軸上の停留所ではないと説明しています。悲しみ方は、一人ひとり違ってよいのです。
心を照らすエリザベス・キューブラー=ロスの英語名言7選
1. 暗いときこそ、内側の光が見える
“People are like stained-glass windows. They sparkle and shine when the sun is out, but when the darkness sets in, their true beauty is revealed only if there is a light from within.”
日本語訳:人はステンドグラスの窓のようなもの。陽が差すと輝き、暗闇が訪れたときには、内側に光があってこそ本当の美しさが現れます。
順調なときの明るさではなく、困難の中で失わない思いやりや誠実さが、その人の本質を映すという言葉です。
英語ポイント:set in は、好ましくない天候や状態が「始まる、訪れる」という表現。from within は「内側から」です。
やさしい例文:Winter has set in.(冬がやってきました。)
2. 他人の評価を背負わなくていい
“The opinion which other people have of you is their problem, not yours.”
日本語訳:他人があなたをどう思うかは、その人の問題であって、あなたの問題ではありません。
周囲の期待に応え続けて疲れたとき、心の境界線を引き直してくれる一文です。自分勝手になるのではなく、自分で変えられない評価まで抱え込まないという知恵でしょう。
英語ポイント:not yours の yours は your problem を繰り返さずに表す所有代名詞です。
やさしい例文:This seat is yours.(この席はあなたのものです。)
3. 人生には限りがあるから、今日を生きられる
“It’s only when we truly know and understand that we have a limited time on earth … that we will begin to live each day to the fullest.”
日本語訳:地上での時間には限りがあると本当に理解したとき、私たちはようやく一日一日を精いっぱい生き始めます。
死を考えることは、暗くなることではありません。「いつか」を待つのではなく、会いたい人に会い、やりたいことを今日から始めるための視点にもなります。
英語ポイント:to the fullest は「最大限に、思う存分」。live life to the fullest で「人生を精いっぱい生きる」という定番表現です。
やさしい例文:I want to enjoy life to the fullest.(人生を思いきり楽しみたいです。)
4. 美しい人は、偶然に生まれるのではない
“The most beautiful people we have known are those who have known defeat, known suffering, known struggle, known loss, and have found their way out of the depths.”
日本語訳:私たちが知る最も美しい人々は、敗北や苦しみ、葛藤や喪失を知り、深みから抜け出す道を見つけた人たちです。
ここでいう美しさは外見ではなく、痛みを知ることで育った感受性、優しさ、思いやりです。経験した苦しみを美化せず、それでもそこから得た人間的な深さを見つめています。
英語ポイント:find one’s way out of … は「…から抜け出す道を見つける」。the depths はここでは「苦しみのどん底」を表します。
やさしい例文:She found her way out of trouble.(彼女は困難から抜け出す道を見つけました。)

5. 平和は遠くまで探しに行かなくていい
“There is no need to go to India or anywhere else to find peace. You will find that deep place of silence right in your room, your garden or even your bathtub.”
日本語訳:平和を見つけるために、インドやどこか遠くへ行く必要はありません。深い静けさは、自分の部屋や庭、バスタブの中にさえ見つけられます。
環境を大きく変えられない日にも、短い静かな時間はつくれます。特別な場所ではなく、いつもの暮らしの中へ意識を戻してくれる名言です。
英語ポイント:There is no need to … は「…する必要はない」。相手を安心させる場面でも使える柔らかな言い方です。
やさしい例文:There is no need to hurry.(急ぐ必要はありません。)
6. 社会を変えるのは、嘆き続けることより行動する勇気
“We make progress in society only if we stop cursing and complaining about its shortcomings and have the courage to do something about them.”
日本語訳:社会の欠点を非難し、不満を言うだけの状態をやめ、それに対して何かをする勇気を持ったときにだけ、私たちは社会を前進させられます。
大きな運動だけが行動ではありません。身近な誰かの話を聞くこと、声を上げること、学び直すことも変化の一歩です。
英語ポイント:have the courage to do は「…する勇気を持つ」。do something about … は「…に対処する」です。
やさしい例文:I had the courage to speak up.(私は勇気を出して意見を言いました。)
7. 最後に学ぶのは、無条件に愛し、愛されること
“The ultimate lesson is learning how to love and be loved unconditionally.”
日本語訳:究極の学びとは、無条件に愛し、そして愛されることを学ぶことです。
love と be loved が並ぶところが大切です。誰かを愛するだけでなく、自分も愛を受け取ってよい。自分自身への思いやりまで含む、人生の宿題のような言葉です。
英語ポイント:be loved は受け身で「愛される」。unconditionally は「無条件に」という副詞です。
やさしい例文:Every child deserves to be loved.(すべての子どもは愛されるに値します。)
今日から使える英語表現
- set in:始まる、訪れる
- from within:内側から
- to the fullest:最大限に、思う存分
- find one’s way out of:…から抜け出す道を見つける
- There is no need to …:…する必要はない
- have the courage to …:…する勇気を持つ
- be loved:愛される
まとめ:悲しみを知ることは、今日を生きること
キューブラー=ロスの言葉は、悲しみに「正解」や「期限」を押しつけません。暗闇の中の光、他人の評価との距離、限りある時間、身近な静けさ。どの言葉も、失ったものだけでなく、今ここに残っている人生へ目を向けさせてくれます。
英語は、一語ずつでも心に置いておけます。今日の自分に必要な一文を選び、声に出して読んでみてください。ほかの人物の言葉も読みたくなったら、英語の名言コーナーもどうぞ。
出典・参考資料
- Elisabeth Kübler-Ross Foundation:Quotes
- Elisabeth Kübler-Ross Foundation:Guidance to Grief
- Biography.com:Elisabeth Kübler-Ross Biography
※名言は公式財団掲載の英文を参照し、日本語訳は文脈に沿って編集部で作成しています。悲嘆の感じ方や経過には個人差があります。つらさが日常生活を大きく妨げる場合は、医療機関や専門家へご相談ください。










