
世界の問題があまりにも大きく見えると、「私一人が何をしても変わらない」と感じることがあります。
けれど、動物行動学者・自然保護活動家のジェーン・グドール(Jane Goodall)は、生涯を通じて一人ひとりの選択には意味があると語り続けました。26歳でアフリカの森へ入り、晩年まで世界を巡って人々に行動を呼びかけた彼女の言葉は、年齢を理由に可能性を閉じそうなときにも静かに背中を押します。
この記事では、ジェーン・グドール研究所の公式資料で確認できる英語の名言を中心に7つ選び、日本語訳と初心者向けの英語表現を解説します。
ジェーン・グドールは2025年に91歳で逝去しました
本記事は、その研究と活動、そして次世代へ残した言葉を紹介するものです。希望を「気持ち」だけで終わらせず、行動へ変え続けた生涯をたどります。
Contents
ジェーン・グドールとは?観察から科学を変え、行動へ進んだ女性
ジェーン・グドールは1934年、イギリス・ロンドン生まれ。幼い頃からアフリカへ行き、野生動物と暮らすことを夢見ていました。
1960年、26歳で現在のタンザニアにあるゴンベへ渡り、野生のチンパンジー研究を開始。チンパンジーが道具を作って使うことや、複雑な社会関係と個性を持つことを観察し、人間とほかの動物の境界についての科学的理解を大きく変えました。
その後、環境破壊と野生動物の危機を知り、研究者から活動家へ。ジェーン・グドール研究所を設立し、若者の行動を支えるRoots & Shootsを世界へ広げました。2025年10月、講演活動中のアメリカで91歳の生涯を閉じましたが、研究と活動は今も引き継がれています。
ジェーン・グドールの英語の名言7選
1.一人ひとりに意味があり、果たす役割がある
Every individual matters. Every individual has a role to play. Every individual makes a difference.
日本語訳:一人ひとりに意味があります。一人ひとりに果たす役割があります。一人ひとりが違いを生みます。
every + 単数名詞 は「すべての〜」ですが、後ろの名詞と動詞は単数形になります。だから individual、matters、has、makes です。
誰もが同じことをする必要はありません。得意なこと、使える時間、暮らす場所が違うからこそ、それぞれの役割があります。
2.何をするかは違いを生む。どんな違いを生みたいか決めなければならない
What you do makes a difference, and you have to decide what kind of difference you want to make.
日本語訳:あなたの行動は違いを生みます。そして、どんな違いを生みたいのかを決めなければなりません。
make a difference は「違いを生む」「役に立つ」。what kind of … は「どのような種類の〜」です。
大切なのは、影響を与えるかどうかではなく、どんな影響を与えるか。買うもの、食べるもの、誰の声を聞くか。日常の選択も周囲や未来に作用します。
3.理解して初めて、心を配ることができる
Only if we understand, can we care. Only if we care, will we help. Only if we help shall all be saved.
日本語訳:理解して初めて、私たちは心を配れます。心を配って初めて、助けます。助けて初めて、すべてが救われます。
Only if … を文頭に置くと、その後ろが can we / will we の語順になります。これは倒置と呼ばれる形です。
知らないものは、守りにくい。グドールの出発点はいつも観察と理解でした。人も自然も、決めつける前に見て、聞いて、知ることから思いやりが始まります。
4.私たちは自然界から離れた存在ではなく、その一部
We are part of, and not apart from, the natural world.
日本語訳:私たちは自然界から離れた存在ではなく、その一部です。
part of は「〜の一部」、apart from は「〜から離れて」。わずか一文字違いの part と apart を対比した、印象的な言葉です。
自然保護は、自分とは別の世界を守る活動ではありません。空気、水、食べ物、衣服。私たちの暮らしそのものが自然に支えられています。

5.あなたの声には意味がある
Your voice matters.
日本語訳:あなたの声には意味があります。
matter は名詞なら「問題・事柄」、動詞なら「重要である・意味がある」。ここでは動詞です。
グドールは、一人の声がほかの声とつながれば、何千、何百万もの人を動かせると語りました。大声でなくても、意見を伝える、経験を共有する、応援を表明することには意味があります。
6.最大の危険は、無関心であること
The greatest danger to our future is apathy.
日本語訳:私たちの未来にとって最大の危険は、無関心です。
apathy は「無関心・意欲の欠如」。知らないことより、「知っているけれど、自分には関係ない」と切り離すことのほうが危険だという警告です。
すべての問題を背負う必要はありません。ただ、一つでも気になることに関心を持ち続ける。それが無関心への小さな抵抗になります。
7.森には科学者として入り、活動家として出てきた
I went to that conference as a scientist, and I left as an activist.
日本語訳:私は科学者としてその会議へ行き、活動家として会議を後にしました。
1986年、チンパンジー研究者の会議で生息地破壊や密猟の現状を知ったときの転換を表す言葉です。as + 役割 は「〜として」。went と left の間で役割が変化しています。
長年続けた仕事や専門性を捨てたのではありません。それまで蓄えた知識を、次の役割へ使ったのです。人生の途中で使命が変わることは、過去を否定することではありません。
ジェーン・グドールが語った「希望」は、楽観ではなく行動
環境問題や戦争、貧困を前にすると、希望という言葉が現実逃避に聞こえることがあります。しかしグドールが遺した希望は、何もしなくてもきっと良くなるという楽観ではありません。
現実を見たうえで、自分にできる行動を選ぶこと。彼女の研究所も、その考えをhope through action(行動を通じた希望)として引き継いでいます。
91歳まで世界を巡った彼女と同じ規模で動く必要はありません。地域の木を一本守る。使い捨てを一つ減らす。動物や環境について学ぶ。若い人の活動に耳を傾ける。小さな行動は「何もしていない」と「始めた」の間にある、大きな境目です。
初心者でも言える英語
I can do something.
私にも何かできます。
My choice matters.
私の選択には意味があります。
Let’s start small.
小さく始めましょう。
ジェーン・グドールの名言から覚えたい英語表現
| 英語表現 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| make a difference | 違いを生む、役に立つ | 日常会話でも頻出 |
| have a role to play | 果たす役割がある | play は「役を演じる」 |
| What you do | あなたがすること | what が名詞節を作る |
| Only if … | 〜して初めて | 文頭では倒置が起こることがある |
| part of … | 〜の一部 | apart from との違いに注意 |
| matter | 重要である、意味がある | 動詞として使える |
| as a scientist | 科学者として | as+役割 |
年齢を重ねたからこそ、次の役割を選べる
グドールは研究者として始まり、自然保護活動家、教育者、国連平和大使として役割を広げました。人生の前半で身につけた知識や経験は、後半の新しい役割の材料になります。
英語を学び直すことも、新しい資格を取ることも、若い頃のやり直しではありません。これまでの経験に、新しい道具を一つ加えることです。
女性の研究者や活動家の言葉をもっと読みたい方は、女性の生き方の英語の名言集へ。40代・50代から経験を次の仕事や学びへつなぎたい方は、be:RIZEでもその方法を紹介しています。
What you do makes a difference.
今日できる一つの行動から、希望は始まります。
参考にした主な資料
- Jane Goodall Institute:Jane Goodall’s Story
- Jane Goodall Institute:Dr. Jane Goodall passes away at age 91
- Jane Goodall Institute:Scientific Research + Data Innovation
- Jane Goodall Institute:Jane Goodall Day – Day of Action
- Jane Goodall Institute:My 5th Reason for Hope









