
have an axe to grindは、「個人的な思惑・利害・こだわりがある」「個人的な恨みや主張を通したい理由がある」という英語イディオムです。
ただ目標があるというより、発言や行動の裏に本人にとって都合のよい理由、過去からの不満、強い持論があることを示します。そのため、多くの場合は「完全に中立ではない」という少し批判的なニュアンスを含みます。
この記事では、なぜaxeとgrindでこの意味になるのか、axとのスペルの違い、自然な語順と例文、have a bone to pick withやhave a hidden agendaとの違い、簡単な英語での言い換えまで解説します。
Contents
have an axe to grindの意味は「個人的な思惑・利害がある」
have an axe to grindには、主に次のような意味があります。
- 議論や行動の背後に個人的な利害がある
- 強く主張したい持論・こだわりがある
- 過去の出来事から恨みや不満を抱えている
He has an axe to grind, so his opinion may not be completely objective.
彼には個人的な思惑があるので、その意見は完全に客観的ではないかもしれません。
この文では、彼の意見が必ず間違っていると言っているわけではありません。ただし、意見の背景に個人的な理由があるため、そのまま中立な意見として受け取るべきではないと示しています。
axeとgrindからニュアンスを理解する
axeは「斧」、grindは刃物などを「研ぐ」という意味です。自分が使いたい斧を黙々と研ぎ、いつでも振るえる状態にしているイメージから、長く抱えている個人的な目的や不満を行動に持ち込む感覚へつながります。
語源については、他人に斧を研がせようとする人物の話と結びつけて説明されることがあります。ただし、会話で使うために細かな語源を暗記する必要はありません。「自分用の斧を研いでいる=中立ではなく、自分側の目的がある」と覚えると理解しやすくなります。
しゅみすけ(大山俊輔)
axeとaxはどちらが正しい?
axeとaxは、どちらも「斧」を表す正しいスペルです。
- axe:イギリス英語で一般的。アメリカ英語でも使われる
- ax:特にアメリカ英語で使われる短いスペル
したがって、have an axe to grindとhave an ax to grindは同じ意味です。検索や読解では両方に慣れておきましょう。自分で書くときは、どちらかに統一すれば問題ありません。
語順とよく使われる形
基本形は非常にシンプルです。
人 + have/has + an axe to grind
| 形 | 例文 | 意味 |
|---|---|---|
| 現在 | I have an axe to grind. | 私には個人的な思惑があります |
| 三人称単数 | She has an axe to grind. | 彼女には個人的な理由があります |
| 過去 | They had an axe to grind. | 彼らには個人的な思惑がありました |
| 否定 | We have no axe to grind. | 私たちに個人的な利害はありません |
about・against・withを続ける場合
何について強い思惑があるのかは、文脈に応じて後ろに説明を加えます。
She has an axe to grind about the new hiring policy.
彼女は新しい採用方針について強い個人的な思いがあります。
He seems to have an axe to grind against his former employer.
彼は以前の勤務先に個人的な恨みがあるようです。
with+人が使われることもありますが、「その人に具体的な文句がある」と言いたいなら、前回扱ったhave a bone to pick with+人のほうが意味を明確に表せます。
have no axe to grindもよく使う
have no axe to grindは、「個人的な利害・恨みはない」「中立的な立場だ」と前置きするときに使えます。
I have no axe to grind; I just want the process to be fair.
私に個人的な利害はありません。ただ手続きが公平であってほしいだけです。
ただし、自分からこのように言うと、かえって「何か事情があるのでは」と感じさせる場合もあります。必要な場面で使いましょう。
ネイティブが感じるニュアンス
「意見が強い」だけではない
単に強い意見を持っているなら、have strong opinionsで表せます。have an axe to grindには、その意見を強く押す個人的な背景があるという含みがあります。
She has strong opinions about education.
彼女は教育について強い意見を持っています。
She has an axe to grind about education funding.
彼女は教育予算について、個人的な利害やこだわりを持って主張しています。
発言者への疑い・批判がにじむ
He has an axe to grind.と言うと、「彼の話は中立ではない」「額面どおりには受け取れない」という評価が含まれやすくなります。本人に直接使うと責めているように聞こえるので注意しましょう。
恨みだけに限定されない
日本語では「個人的な恨みがある」と訳されることがありますが、常に復讐心を意味するわけではありません。自分の業界を有利にしたい、以前からの持論を通したい、自分の失敗を正当化したいなど、広い個人的動機を表せます。
仕事・ニュース・日常会話で使える例文
仕事・会議
Everyone supported the proposal, but Ken seemed to have an axe to grind.
全員がその提案を支持していましたが、ケンには何か個人的な思惑があるようでした。
The consultant has no axe to grind and can review the plan independently.
そのコンサルタントには個人的な利害がなく、独立した立場で計画を評価できます。
Before accepting his criticism, ask whether he has an axe to grind.
彼の批判を受け入れる前に、個人的な思惑がないか考えてみてください。
ニュース・意見
The article sounds persuasive, but the writer may have an axe to grind.
その記事は説得力があるように見えますが、筆者には個人的な思惑があるのかもしれません。
She denied having an axe to grind against the company.
彼女はその会社に個人的な恨みがあることを否定しました。
人間関係
Are you giving me advice, or do you have an axe to grind with Leo?
私に助言しているの?それともレオに何か個人的な不満があるの?
I thought he was helping, but he had his own axe to grind.
彼は助けてくれていると思いましたが、実は彼自身の思惑がありました。

| 表現 | 中心の意味 | 焦点 |
|---|---|---|
| have an axe to grind | 個人的な利害・こだわりがある | 主張を動かす個人的な背景 |
| have a bone to pick with | 相手に具体的な不満がある | 本人と話したい未解決の問題 |
| have a hidden agenda | 表に出さない目的がある | 隠している計画・狙い |
have a bone to pick withとの違い
have a bone to pick with someoneは、「その人がした具体的なことについて、本人に文句・言いたいことがある」という表現です。
I have a bone to pick with Sam about the report.
その報告書について、サムに言いたいことがあります。
have an axe to grindは、特定の相手への苦情より、意見や行動の背後にある個人的な動機へ焦点を当てます。詳しくはhave a bone to pick withの専門記事をご覧ください。
have a hidden agendaは、「本当の目的を他人に隠している」という意味です。have an axe to grindは個人的な動機があることを示しますが、それを意図的に秘密にしているとは限りません。
He supports the project, but I think he has a hidden agenda.
彼はその計画を支持していますが、隠れた目的があると思います。
hold a grudgeとの違い
hold a grudgeは、過去の出来事を「根に持つ」ことです。have an axe to grindは、その不満が意見や行動の方向に影響している点まで含みやすい表現です。関連する違いはhard feelings・hold a grudgeの解説でも確認できます。
しゅみすけ(大山俊輔)
日本人が間違えやすいポイント
axeを実際の道具として訳さない
この表現では、本物の斧を研ぐ話ではありません。have an axe to grind全体で、個人的な目的や不満を持っていることを表します。
冠詞はan
axeは母音の音で始まるため、a axeではなくan axeです。
× He has a axe to grind.
○ He has an axe to grind.
grindの過去形・過去分詞はground
表現自体は通常to grindの形で覚えれば十分ですが、grindの活用はgrind–ground–groundです。grindedにはしません。
自分の目標を前向きに語る表現ではない
「達成したい目標がある」という意味で使うと、不自然に批判的な響きになります。前向きな目標なら、I have a goal.やThere’s something I want to achieve.を使いましょう。
やわらかい・中立的な言い換え
相手を「偏っている」と断定せずに背景を確かめたいときは、次の表現が使えます。
- He has a personal interest in this issue.
彼はこの問題に個人的な利害があります。 - She has strong views on this topic.
彼女はこの話題について強い考えを持っています。 - He may not be completely neutral.
彼は完全に中立ではないかもしれません。 - She has personal reasons for supporting it.
彼女がそれを支持するのには個人的な理由があります。
mayやseem toを使うと、根拠なく断定する強さを抑えられます。
表現が出てこないときの簡単な英語
イディオムを忘れても、「誰が・何を望んでいるか」「なぜ中立ではないのか」に分ければ伝えられます。
- He wants this plan to win.
彼はこの案が通ってほしいと思っています。 - This change will help his company.
この変更は彼の会社に有利です。 - He is still angry about what happened.
彼は起きたことをまだ怒っています。 - That may affect his opinion.
それが彼の意見に影響しているかもしれません。
たとえば、This plan will help his team, so he may not be neutral.(この案は彼のチームに有利なので、彼は中立ではないかもしれません)と説明すれば、意図は十分に伝わります。
関連表現
- be biased:偏っている
- have a vested interest:結果に利害関係がある
- push one’s own agenda:自分の思惑を押し進める
- have an ulterior motive:隠れた動機がある
- settle a score:仕返しをする・過去の恨みに決着をつける
遠回しに何かを得ようとする表現については、angle forの意味と使い方も参考になります。ほかの英熟語は英熟語・定型表現のまとめから探せます。
まとめ
have an axe to grindは、発言や行動の背後に「個人的な利害・こだわり・恨みなどの理由がある」ことを表します。
- axeとaxはどちらも正しいスペル
- 基本形はhave/has an axe to grind
- have no axe to grindなら「個人的な利害はない」
- have a bone to pick withは、本人に伝えたい具体的な不満
- have a hidden agendaは、表に出していない目的
- 相手について使うと批判的に聞こえるため、断定には注意する
まずはHe may have an axe to grind, so let’s hear both sides.(彼には個人的な思惑があるかもしれないので、双方の話を聞きましょう)のように、決めつけずに使う一文から練習してみましょう。









