
cut no ice with someone は、「人にまったく通用しない」「人へ何の影響も与えない」という意味のイディオムです。
- Your excuses cut no ice with me.
あなたの言い訳は私には通用しません。 - His impressive title cuts no ice with the team.
彼の立派な肩書は、そのチームには何の効果もありません。
特にイギリス英語で知られる、ややくだけた表現です。言い訳・脅し・肩書・お世辞などが、相手の判断や態度を変えない場面で使われます。この記事では意味、語順、時制、自然な例文、make no difference・have no effect・hold no swayとの違いまで解説します。
Contents
cut no ice withの基本的な意味
A cuts no ice with B は、「AがBには通用しない・Bに何の影響も与えない」という語順です。
- A=言い訳、議論、肩書、魅力、脅しなど
- B=影響を受けない人・集団
- That argument cuts no ice with the committee.
その主張は委員会には通用しません。 - Flattery cuts no ice with my boss.
お世辞は私の上司には通用しません。 - Celebrity endorsements cut no ice with many younger buyers.
有名人の推薦は、多くの若い購入者には効果がありません。
単に「失敗した」のではなく、相手の気持ち・判断・態度を動かす力がないことに焦点があります。
なぜiceをcutして「通用しない」になる?
cut ice は、もともと「印象を与える・影響力を持つ」という意味で使われ、その否定形 cut no ice が「何の影響もない」を表すようになりました。
ただし、このイディオムの詳しい由来には複数の説があり、断定はできません。学習上は、氷に力を加えても傷一つつかず、相手がまったく動かないイメージを持つと覚えやすいでしょう。

しゅみすけ(大山俊輔)
語順と動詞の変化
A cuts no ice with B
主語Aが三人称単数なら、現在形は cuts です。
- Money cuts no ice with her.
お金は彼女には通用しません。 - His charm cuts no ice with the new manager.
彼の魅力は新しいマネージャーには通用しません。
過去形はcutのまま
cutは、原形・過去形・過去分詞がすべてcutです。
- His explanation cut no ice with the client.
彼の説明は顧客には通用しませんでした。 - Our previous success cut no ice with the judges.
過去の成功は審査員には何の影響も与えませんでした。
won’t cut any ice
未来の状況や予測なら、won’t cut any ice も自然です。
- That excuse won’t cut any ice with your teacher.
その言い訳は先生には通用しないでしょう。 - Threatening to leave won’t cut any ice with management.
辞めると脅しても、経営陣には通用しないでしょう。
否定語noを使うならcut no ice、notを使うならnot cut any iceとなります。
よく主語になるもの
| 主語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| excuses | 言い訳 | Your excuses cut no ice with me. |
| arguments | 主張・議論 | That argument cuts no ice with voters. |
| flattery | お世辞 | Flattery cuts no ice with her. |
| threats | 脅し | Threats cut no ice with the union. |
| titles / status | 肩書・地位 | His title cuts no ice here. |
| charm | 魅力・愛想 | Charm won’t cut any ice this time. |
場面別の自然な例文
仕事
- Being friends with the director cuts no ice with the hiring panel.
取締役と親しいことは、採用委員会には通用しません。 - Past achievements cut no ice when today’s results are poor.
今日の結果が悪ければ、過去の実績は通用しません。 - That explanation cut no ice with the customer.
その説明は顧客を納得させられませんでした。
学校
- “My alarm didn’t go off” will cut no ice with the professor.
「目覚ましが鳴らなかった」という言い訳は教授には通用しないでしょう。 - His parents’ influence cut no ice with the school.
彼の両親の影響力は学校には通用しませんでした。
恋愛・人間関係
- Flowers cut no ice with her after what he said.
彼があんなことを言ったあとでは、花を贈っても彼女には通用しません。 - His usual charm cuts no ice with me anymore.
彼のいつもの魅力は、もう私には通用しません。
交渉・説得
- Emotional appeals cut no ice with the negotiators.
感情に訴えても交渉担当者には効果がありません。 - Those threats won’t cut any ice with us.
そんな脅しは私たちには通用しません。
withの後ろには影響を受けない相手を置く
with me・with her・with the committee のように、withの後ろには「その言葉や行動が通用しない相手」を置きます。
- Your reputation may impress others, but it cuts no ice with me.
あなたの評判はほかの人には好印象かもしれませんが、私には通用しません。
相手が文脈で明らかな場合、with以下を省くこともあります。
- I’m afraid that excuse cuts no ice.
残念ですが、その言い訳は通用しません。
make no differenceとの違い
make no difference は「結果や状況を変えない」という広い表現です。cut no ice withは「人を説得したり、感心させたり、態度を変えたりできない」ことに焦点があります。
- Leaving ten minutes earlier made no difference.
10分早く出ても結果は変わりませんでした。 - His excuse cut no ice with the manager.
彼の言い訳はマネージャーには通用しませんでした。
have no effectとの違い
have no effect on は、人だけでなく物・制度・数値などにも使える中立的で広い表現です。
- The medicine had no effect on the pain.
その薬は痛みに効きませんでした。 - His apology cut no ice with her.
彼の謝罪は彼女には通用しませんでした。
薬の効き目や物理的な影響にはhave no effectが自然です。cut no iceは主に人の判断や反応について使います。
hold no swayとの違い
hold no sway over someone は「人に影響力・支配力を持たない」という、よりフォーマルな表現です。
- Tradition holds no sway over her decisions.
伝統は彼女の決断に影響力を持ちません。 - His excuses cut no ice with her.
彼の言い訳は彼女には通用しません。
hold no swayは継続的な影響力、cut no iceは特定の主張・言い訳・手段が効かない場面に向いています。
doesn’t hold waterとの違い
doesn’t hold water は、主張や説明に論理的な穴があり「筋が通らない」ことを表します。cut no iceは、内容が論理的かどうかより、相手を動かせないことを表します。
- His story doesn’t hold water.
彼の話は筋が通っていません。 - His story cuts no ice with the police.
彼の話は警察には通用しません。
論理性を詳しく確認したい場合は、hold waterの意味とmake sense・add upとの違いも参考になります。
アメリカ英語ではどう言う?
cut no iceはイギリス英語で特に馴染みのある表現です。アメリカ英語でも理解されますが、日常会話では次の言い方がより直接的です。
- That excuse won’t work with me.
その言い訳は私には通用しません。 - I’m not buying that excuse.
その言い訳は信じません。 - That doesn’t impress me.
それでは私は感心しません。 - That won’t change my mind.
それでは私の考えは変わりません。
日本人が間違えやすいポイント
氷を切る話ではない
通常の文脈では比喩表現です。iceを具体的な氷として訳すと意味がつながりません。
人にはwithを使う
- ○ That excuse cuts no ice with me.
- × That excuse cuts no ice to me.
強い拒絶に聞こえることがある
That cuts no ice with me. は「そんなものでは私は動かない」と、きっぱり突き放す響きがあります。丁寧に言うなら、I’m afraid that doesn’t change the situation. などが安全です。
しゅみすけ(大山俊輔)
cut no ice withが出てこないときの簡単な言い換え
- That excuse won’t work with me.
その言い訳は私には通用しません。 - It won’t change her mind.
それでは彼女の考えは変わりません。 - He wasn’t impressed.
彼は感心しませんでした。 - The manager didn’t accept the explanation.
マネージャーはその説明を受け入れませんでした。
「誰が動かなかったのか」「何を受け入れなかったのか」を短く言えば、イディオムなしでも十分に伝わります。
まとめ
cut no ice with someone は、「人に通用しない・人へ何の影響も与えない」というイディオムです。
- A cuts no ice with B=AはBには通用しない
- 言い訳・主張・肩書・お世辞・脅しなどが主語になりやすい
- 過去形もcut no ice
- won’t cut any iceという形も使う
- 主に人の判断や態度が動かない場面で使う
- 簡単に言うならwon’t work・won’t change someone’s mind
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