
knock about は、主に英国英語のくだけた表現で、文の形によって「人を殴る・乱暴に扱う」と「あちこちをぶらぶらする・渡り歩く」という意味になります。
They knocked him about after the argument.
口論のあと、彼らは彼を殴って乱暴に扱いました。
He knocked about Europe for a year.
彼は1年間、ヨーロッパ各地を気ままに巡りました。
まったく違う意味に見えますが、どちらにも一か所に固定されず、あちこちへ打ち当てられる・動き回る感覚があります。この記事では語順、受け身、knock around・beat up・knock downとの違いまで整理します。
Contents
knock aboutの主な意味は2つ
1.人を殴る・乱暴に扱う
knock someone about は、人を繰り返し殴ったり、手荒く扱ったりすることです。一度だけ軽くぶつかるのではなく、相手が被害を受けるような乱暴な扱いを表します。
The older boys knocked him about.
年上の少年たちは彼を殴って乱暴に扱いました。
He said he had been knocked about at home.
彼は家で暴力を受けていたと話しました。
強い内容を表すため、冗談で気軽に使う表現ではありません。実際の被害について話すときは、より直接的な hit、beat、physically abuse などを選ぶ方が状況を正確に伝えられる場合もあります。
2.あちこちをぶらぶらする・渡り歩く
目的語を置かずに使う knock about は、「特にはっきりした目的を決めず、あちこちを動き回る」という意味になります。
We knocked about town until dinner.
私たちは夕食まで街をぶらぶらしました。
She spent her twenties knocking about Asia.
彼女は20代をアジア各地を巡って過ごしました。
旅行の話では、計画どおり観光地を回るというより、気ままに場所を移しながら経験を積む響きがあります。
なぜknockとaboutでこの意味になるの?
knock の基本は「何かにコツン・ドンと当たる」、about は「周辺のあちこちに」という感覚です。
- 人+about:人があちこちへ打ち当てられるように乱暴に扱われる
- 自分がknock about:一か所に定まらず、あちこちを動き回る
日本語訳を一つに固定するより、aboutが加える「あちこち」の感覚を持っておくと、複数の意味をつなげて理解できます。
しゅみすけ(大山俊輔)
語順はknock someone about|代名詞は真ん中
「人を乱暴に扱う」意味では、knock+人+about が基本です。
- knock the man about:その男性を乱暴に扱う
- knock him about:彼を乱暴に扱う
- be knocked about:乱暴に扱われる
Someone knocked him about outside the station.
誰かが駅の外で彼に暴力を振るいました。
代名詞は knock about him ではなく、knock him about と真ん中に置きます。名詞も通常は同じ位置に置くのが自然です。
一方、「ぶらぶらする」なら目的語は不要です。
We just knocked about for a few hours.
私たちは数時間、ただぶらぶらしていました。
knock about with someoneの意味
knock about with someone は、くだけた英国英語で「人とつるむ・一緒にぶらぶら過ごす」という意味です。
He used to knock about with musicians.
彼は以前、ミュージシャンたちとよくつるんでいました。
ここでは with があるため、「その人を殴る」ではなく「その人と行動を共にする」という意味になります。ただし、現在の日常会話なら hang out with や spend time with の方が分かりやすく自然なことが多いでしょう。
knock about・knock around・knock downの違い

knock someone about|人を殴る・手荒く扱う
英国英語でよく見られる形です。相手に対する継続的・複数回の乱暴な扱いを感じさせます。
knock around|ぶらぶらする・あれこれ検討する
knock around は、特に北米で「ぶらぶらする」「各地を渡り歩く」の意味に使われます。また、knock an idea around なら「アイデアを気軽に話し合う」です。
We knocked a few ideas around after lunch.
昼食後、いくつかの案を気軽に話し合いました。
knock something down|倒す・取り壊す
knock down は、人や物を立った状態から倒したり、建物を取り壊したりする表現です。
They knocked the old wall down.
彼らは古い壁を取り壊しました。
詳しくはknock downの専門記事で確認できます。
knock about・hit・beat upの違い
hit|一回「打つ・殴る」ことも表せる基本語
hit は最も基本的で広い表現です。一度の動作にも、何を使ってどこを打ったかを説明する場合にも使えます。
He hit me in the arm.
彼は私の腕を殴りました。
beat someone up|何度も殴って傷つける
beat someone up は、人を繰り返し殴って傷つけるという明確で強い表現です。現代の会話では、knock someone aboutより広く理解されやすい言い方です。
Two men beat him up outside the club.
2人の男がクラブの外で彼を殴ってけがをさせました。
knock someone about|英国寄りで「手荒く扱う」まで含む
必ずしも一発一発の殴打だけに焦点を当てず、押す・つかむなどを含めて乱暴に扱う意味でも使われます。地域や世代によっては、knock aroundの方が身近です。
場面別の自然な例文
被害やトラブル
The police found that the victim had been knocked about.
警察は、被害者が暴力を受けていたことを突き止めました。
Nobody has the right to knock you about.
誰にも、あなたに暴力を振るう権利はありません。
旅行・暮らし
I knocked about Australia before starting university.
大学へ入る前、オーストラリア各地を気ままに巡りました。
They’ve been knocking about somewhere in the north.
彼らは北部のどこかをぶらぶらしているようです。
友人関係
Who did you knock about with at school?
学生時代は誰とよくつるんでいたの?
日本人が間違えやすいポイント
- knock=ノックするだけではない:人や物に打撃を与える意味がある
- 目的語の有無で意味が変わる:knock him aboutは乱暴に扱う、knock aboutはぶらぶらする
- 代名詞は真ん中:knock him aboutが自然
- knock downと混同しない:downは倒す結果、aboutはあちこちへの動き
- 地域差がある:knock aboutは英国寄り、knock aroundは北米でもよく使われる
knock aboutが出てこないときの簡単な言い換え
暴力について伝えるときは、無理に句動詞を使わず、基本語で事実を明確に伝える方が安全です。
- They hit him several times.
彼らは彼を何度も殴りました。 - They treated him very badly.
彼らは彼をひどく扱いました。 - He hurt me.
彼は私を傷つけました。
「ぶらぶらする」意味なら、次のように言い換えられます。
- We walked around town.
私たちは街を歩き回りました。 - She traveled from place to place.
彼女は場所から場所へ旅しました。
しゅみすけ(大山俊輔)
関連する英語表現
- knock downの意味・語順と使い方
- knock backの意味と使い方
- knock off・Knock it off!の意味と使い分け
- knock overとknock downの違い
- punch someone in the faceの語順と類似表現
- 英熟語・定型表現の一覧
まとめ
knock someone about は「人を殴る・乱暴に扱う」、目的語を置かない knock about は「あちこちをぶらぶらする・渡り歩く」という意味です。人を置く場合の語順は knock+人+about で、代名詞なら knock him about とします。
英国寄りのくだけた表現なので、まずは意味を聞き取れるようにし、自分で伝えるときは hit、treat badly、walk around などの簡単な言葉も活用しましょう。
ほかのknock表現もまとめて学びたい方は、「knockを使った句動詞一覧」で、意味・使い方・語順の違いを体系的に確認できます。









