
cannot but do は「〜せずにはいられない」「〜するほかない」「どうしても〜してしまう」を表す、非常に硬く古風な英語表現です。
I cannot but agree. なら、「同意する以外にあり得ない」から「同意せざるを得ない」という意味になります。
ただし、現代の日常会話で頻繁に使う表現ではありません。普通の会話では can’t help but do や have no choice but to do のほうが自然です。この記事では、cannot but do の意味、語順、ニュアンス、よく使われる動詞、類似表現との違いを例文で解説します。
Contents
cannot but doの意味は「〜せずにはいられない」
cannot but do は、ほかの反応や結論を選べず、「〜する以外にない」という意味を表します。
I cannot but admire her courage.
彼女の勇気には感服せずにいられません。
We cannot but accept the result.
私たちはその結果を受け入れざるを得ません。
One cannot but wonder what happened.
何が起きたのか、考えずにはいられません。
日本語訳は文脈によって次のように変わります。
- 感情や反応:〜せずにはいられない
- 判断や結論:〜と考えざるを得ない
- 行動:〜するほかない
共通するのは、別の反応・判断を取る余地がないという感覚です。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜcannotとbutでその意味になる?
ここでの but は、逆接の「しかし」ではなく、except(〜を除いて) や other than(〜以外に) に近い働きをします。
cannot but agree を感覚的に分解すると、次のようになります。
cannot do anything but agree
同意すること以外は何もできない
つまり、「同意する以外の選択肢がない」ため、「同意せざるを得ない」という意味になります。
cannot があるからといって、「〜できない」という否定の意味で訳すわけではありません。cannot と but の組み合わせ全体で、その行動・反応を避けられないことを表します。
語順:butの後ろは動詞の原形
基本の形は次のとおりです。
主語 + cannot but + 動詞の原形
We cannot but acknowledge the problem.
私たちはその問題を認めざるを得ません。
I cannot but feel that something is wrong.
何かがおかしいと感じずにはいられません。
cannot but to agree や cannot but agreeing にはしません。
× I cannot but to agree.
× I cannot but agreeing.
○ I cannot but agree.
過去ならcould not but do
過去の場面では could not but + 動詞の原形 が使われます。
She could not but smile at his honest answer.
彼の正直な答えに、彼女はほほ笑まずにはいられませんでした。
I could not but notice the tension in the room.
私は部屋の緊張した空気に気づかずにはいられませんでした。
この形もかなり文語的です。会話では She couldn’t help smiling. や I couldn’t help noticing … が自然です。
よく使われる動詞と例文
cannot but agree:同意せざるを得ない
After hearing both sides, I cannot but agree with her.
双方の話を聞くと、彼女に同意せざるを得ません。
We cannot but agree that changes are needed.
変化が必要だという点には、同意せざるを得ません。
cannot but admit / acknowledge:認めざるを得ない
I cannot but admit that the plan has risks.
その計画にはリスクがあると認めざるを得ません。
The company cannot but acknowledge its responsibility.
会社は自らの責任を認めざるを得ません。
cannot but conclude:結論せざるを得ない
From the evidence, we cannot but conclude that the report was inaccurate.
その証拠から、報告書は不正確だったと結論せざるを得ません。
論証や批評など、硬い文章と相性のよい形です。
cannot but admire:感服せずにはいられない
You cannot but admire her determination.
彼女の決意には感服せずにいられません。
We cannot but admire the care that went into the design.
そのデザインに注がれた丁寧な仕事には感心せずにいられません。
cannot but wonder:考えずにはいられない
I cannot but wonder why he changed his mind.
なぜ彼が考えを変えたのか、考えずにはいられません。
One cannot but wonder whether the decision was rushed.
その決定は性急だったのではないかと考えずにはいられません。
どのような場面で使われる?
cannot but do は、主に次のような文章で見かけます。
- 古い文学作品や格調高い文章
- 評論・論証・演説
- 非常に改まった意見表明
- 「論理的にほかの結論はない」と強調する文章
一方、友人との会話や普通のビジネスメールでは、硬すぎたり芝居がかって聞こえたりする可能性があります。
I cannot but thank you for your help.
ご協力に感謝せずにはいられません。
文法的には成立しますが、現代のメールなら次のほうが自然です。
I truly appreciate your help.
ご協力に心から感謝します。
cannot but doと似た表現の違い

cannot but do:非常に硬く古風
論理的・感情的に「〜する以外にない」と述べる文語表現です。
I cannot but agree.
同意せざるを得ません。
can’t help but do:自然に反応してしまう
can’t help but + 動詞の原形 は、感情や反応を抑えられず「つい〜してしまう」という現代的な表現です。
I can’t help but smile when I see that photo.
その写真を見ると、つい笑顔になってしまいます。
cannot but do と形は似ていますが、help が入る点を忘れないようにしましょう。
cannot help doing:後ろは-ing形
cannot help doingの意味と使い方も「〜せずにはいられない」です。こちらは help の後ろに動名詞を置きます。
I cannot help laughing at his jokes.
彼の冗談を聞くと、笑わずにはいられません。
会話では短縮して I can’t help laughing. とするのが自然です。
have no choice but to do:選択肢がない
have no choice but toの意味と使い方は、状況上ほかの選択肢がなく「〜するしかない」と言う表現です。
We had no choice but to cancel the trip.
私たちは旅行を中止するしかありませんでした。
感情を抑えられないのではなく、外部事情によって選択肢がなくなったことを表します。
be obliged to:義務・事情により〜せざるを得ない
be obliged toの意味と使い方は、義務や規則、事情によって「〜しなければならない」と述べる改まった表現です。
We are obliged to follow the regulations.
私たちはその規則に従う義務があります。
日本人が間違えやすいポイント
1.butを「しかし」と訳さない
I cannot but agree. の but は文と文を逆接でつなぐ「しかし」ではありません。「同意する以外に」という意味です。
2.butの後ろにtoを置かない
× cannot but to accept
○ cannot but accept
ただし、have no choice but の後ろには to が必要です。
○ have no choice but to accept
3.cannot help doingと語順を混ぜない
○ cannot but laugh
○ cannot help laughing
× cannot but laughing
4.日常会話で無理に使わない
友人との会話で「笑わずにはいられない」と言うなら、I can’t help laughing. のほうが自然です。
「帰るしかない」なら、I have to go home. や I have no choice but to go home. が分かりやすいでしょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
簡単な英語で言い換えるなら
cannot but do が出てこなければ、場面に合わせて次のように言い換えられます。
感情・反応を抑えられない
I cannot but admire her.
彼女に感服せずにはいられません。
簡単に言うなら:
I really admire her.
私は彼女を本当に尊敬しています。
同意以外に考えられない
I cannot but agree.
同意せざるを得ません。
簡単に言うなら:
I have to agree.
同意せざるを得ません。
I agree with you.
あなたに同意します。
状況上、行動するしかない
We cannot but wait.
私たちは待つほかありません。
簡単に言うなら:
We have to wait.
私たちは待たなければなりません。
Waiting is our only option.
待つことが唯一の選択肢です。
まとめ
- cannot but do は「〜せずにはいられない」「〜するほかない」
- but は「しかし」ではなく「〜以外に」の感覚
- 語順は cannot but + 動詞の原形
- 過去は could not but + 動詞の原形
- 非常に硬く古風で、評論や文学などの文章で見かけやすい
- 感情的な反応なら can’t help but do / can’t help doing が自然
- 外部事情で選択肢がないなら have no choice but to do
- 簡単には have to や普通の肯定文で言い換えられる
cannot but do は、自分で頻繁に使うよりも「butの後ろの行動しか選べない」と読めることが大切です。ほかの英熟語も整理したい方は、英熟語・定型表現の一覧もあわせてご覧ください。











