
have the nerve to do は、文脈によって「〜する勇気がある」と「よくもずうずうしく〜する」という2つの訳し方をする定型表現です。
たとえば、I didn’t have the nerve to ask. は「聞く勇気がなかった」。一方、He had the nerve to complain. は「彼はよくも文句を言えたものだ」という非難になります。
なぜ同じ表現が「勇気」と「図々しさ」の両方になるのでしょうか。この記事では、nerve の感覚、語順、肯定文・否定文・疑問文で変わるニュアンス、自然な例文、have the courage to・dare to・have the guts to との違いを分かりやすく解説します。
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have the nerve toの基本的な意味
基本の形は次のとおりです。
have the nerve to + 動詞の原形
nerve は本来「神経」ですが、ここでは「怖さや緊張に耐えて行動する度胸・肝の太さ」を表します。その度胸を have(持っている)ため、直訳に近い感覚は「〜するだけの度胸を持つ」です。
ただし、日本語訳は話し手の評価によって変わります。
- 勇気・度胸:怖いことをする心の強さ
- 図々しさ・厚かましさ:普通なら遠慮することを平然とする態度
- I didn’t have the nerve to tell her the truth.
彼女に真実を話す勇気がありませんでした。 - She had the nerve to blame me.
彼女はよくも私のせいにできたものです。
しゅみすけ(大山俊輔)
肯定文では「よくも〜した」という非難になりやすい
have the nerve to を肯定文で使うと、「そんな失礼なことをするなんて」「よくもそんなことができたね」という驚きや怒りを表すことがよくあります。
- He had the nerve to ask me for more money.
彼はよくも私にもっとお金を要求できたものです。 - She was late and had the nerve to complain about the meeting.
彼女は遅刻したうえに、よくも会議に文句を言えたものです。 - They had the nerve to laugh at my idea.
彼らは図々しくも私の案を笑いました。
この用法では、話し手は行動そのものを褒めていません。「普通なら恥ずかしくてできないはずなのに、その人は平然とやった」という否定的な評価です。
過去の行動を非難するときは、had the nerve to が特によく使われます。
否定文では「〜する勇気がない」になりやすい
not have the nerve to は、「怖い・緊張する・相手の反応が心配で、〜する勇気がない」という意味で自然に使われます。
- I don’t have the nerve to quit my job yet.
まだ仕事を辞める勇気がありません。 - He didn’t have the nerve to ask her out.
彼は彼女をデートに誘う勇気がありませんでした。 - I almost spoke up, but I didn’t have the nerve.
もう少しで意見を言うところでしたが、勇気が出ませんでした。
最後の例のように、何をする勇気かが文脈で分かる場合は、to + 動詞 を省いて I didn’t have the nerve. と言うこともできます。
疑問文は「そんなことをする度胸があるの?」
疑問文では、本当に勇気があるかを尋ねる場合と、相手の厚かましさを責める場合があります。
- Do you have the nerve to speak in front of five hundred people?
500人の前で話す度胸はありますか。 - How did he have the nerve to say that?
彼はよくもそんなことを言えたね。 - Do you really have the nerve to ask her again?
本当にまた彼女に頼むつもり?/そんなことをする度胸が本当にあるの?
声の調子や前後の状況によって、純粋な質問にも皮肉にもなります。特に How did you have the nerve to …? は、情報を尋ねるというより強い非難になりやすい言い方です。
2つのニュアンスを文脈で見分ける

見分けるときは、文の形と、その行動を話し手がどう評価しているかを確認しましょう。
- not have the nerve to:怖くてできない → 「勇気がない」
- have the nerve to + 失礼な行動:遠慮なくやる → 「よくも〜する」「図々しくも〜する」
- have the nerve to + 困難な挑戦:恐れずやる → 「度胸がある」
She had the nerve to speak against the unfair rule. のように、困難な状況で声を上げたことを評価する文脈なら、肯定的な「度胸があった」と解釈できます。ただし、肯定的に「勇気」を褒めたいだけなら、後ほど紹介する have the courage to のほうが誤解が少なく自然です。
よく使われる形と語順
have the nerve to + 動詞の原形
to の後ろには動詞の原形を置きます。
- have the nerve to ask:尋ねる度胸がある
- have the nerve to refuse:断る度胸がある
- have the nerve to lie:ずうずうしくも嘘をつく
- have the nerve to show up:よくも顔を出す
× have the nerve to asking
○ have the nerve to ask
have the nerve to do something after …
非難する理由を after で加えると、「〜した後なのによくも」という気持ちが明確になります。
- He had the nerve to criticize me after missing the deadline himself.
自分も締め切りに遅れたのに、彼はよくも私を批判できたものです。 - She had the nerve to ask for a favor after ignoring my messages.
私のメッセージを無視していたのに、彼女は図々しくも頼み事をしてきました。
the nerve of someone
行動ではなく人の厚かましさに反応するときは、The nerve of him! や The nerve! と言えます。
- The nerve of him, blaming everyone else!
みんなのせいにするなんて、なんて図々しい人なの! - The nerve!
よくもまあ!/なんて厚かましい!
感情の強い言い方なので、仕事相手への直接の発言には慎重になりましょう。
場面別の自然な例文
仕事
- I didn’t have the nerve to disagree with the CEO.
CEOに反対意見を言う勇気がありませんでした。 - Tom had the nerve to take credit for my work.
トムは図々しくも私の仕事を自分の手柄にしました。 - She had the nerve to demand an apology.
彼女はよくも謝罪を要求できたものです。
恋愛・人間関係
- I finally had the nerve to tell him how I felt.
ようやく彼に自分の気持ちを伝える勇気が出ました。 - He cheated on her and then had the nerve to ask for another chance.
彼は浮気したうえに、図々しくももう一度チャンスを求めました。 - Do you have the nerve to call her after what happened?
あんなことがあった後で、彼女に電話する度胸があるの?
学校・学習
- I didn’t have the nerve to raise my hand.
手を挙げる勇気がありませんでした。 - He had the nerve to copy my homework and complain about the grade.
彼は私の宿題を写したうえ、図々しくも成績に文句を言いました。
買い物・サービス
- The customer had the nerve to demand a full refund after using the product for a year.
その客は商品を1年使った後で、図々しくも全額返金を要求しました。 - I didn’t have the nerve to ask for a discount.
値引きをお願いする勇気がありませんでした。
have the courage toとの違い
have the courage to は、困難や恐怖に向き合う「勇気」を基本的に肯定的・中立的に表します。
- She had the courage to admit her mistake.
彼女は勇気を出して自分の間違いを認めました。 - She had the nerve to blame me for her mistake.
彼女は自分の間違いなのに、よくも私を責められたものです。
相手の行動を褒めたいなら courage が安全です。nerve は「肝の太さ」を表すため、賞賛にも非難にも転びます。
dare to・have the guts toとの違い
dare to
dare to は「思い切って〜する」「あえて〜する」。恐れや危険に逆らう行動に焦点があります。
I didn’t dare to look down.
怖くて下を見ることができませんでした。
How dare you! は「よくもそんなことを!」という強い非難です。have the nerve to と似ていますが、相手へ直接怒りをぶつける響きがより強くなります。
have the guts to
guts は「度胸・根性」を表すくだけた言葉です。勇気を評価するときにも、相手を挑発するときにも使います。
Do you have the guts to try again?
もう一度挑戦する度胸はある?
have the nerve to は厚かましさへの非難によく使われ、have the guts to は大胆さや根性を強調しやすい、という違いがあります。
日本人が間違えやすいポイント
nerveをnervousと同じ意味だと考えない
nervous は「緊張している・不安な」という形容詞ですが、have the nerve to の nerve は「度胸」です。
× 「〜する神経質さがある」
○ 「〜する度胸がある」
褒め言葉として気軽に使わない
You have the nerve to speak up. は文脈によって、「声を上げる勇気があるね」ではなく「よくも口答えできるね」に聞こえます。素直に褒めたいなら、次のように言うほうが自然です。
You were brave enough to speak up.
勇気を出して意見を言ったね。
toの後ろを名詞にしない
ここでの to は不定詞なので、後ろには動詞の原形を置きます。名詞を続けたいときは別の形に言い換えます。
○ the nerve to complain
○ the nerve for a difficult conversation(難しい話し合いに臨む度胸)
簡単な英語で言い換えるなら
この表現がすぐに出てこなくても、「勇気」と「失礼」のどちらを伝えたいかに分ければ、基本的な英語で表現できます。
「勇気がなかった」なら
- I was too scared to ask.
怖くて聞けませんでした。 - I wanted to ask, but I couldn’t.
聞きたかったのですが、できませんでした。 - It was hard for me to say it.
それを言うのは難しかったです。
「図々しい・信じられない」なら
- I can’t believe he said that.
彼がそんなことを言ったなんて信じられません。 - That was very rude of her.
彼女のあの態度はとても失礼でした。 - He did that even after I helped him.
私が助けた後なのに、彼はそんなことをしました。
しゅみすけ(大山俊輔)
関連表現
- work up the courage to:勇気を奮い起こして〜する
- pluck up the courage to:勇気を振り絞って〜する
- be bold enough to:大胆にも〜する
- get cold feet:直前になって怖じ気づく
- How dare you!:よくもそんなことを!
行動直前に不安になってしまう表現は、get cold feetとhave cold feetの違いで詳しく解説しています。
まとめ
have the nerve to + 動詞の原形 は、「〜する度胸がある」が中心の感覚です。否定文では「〜する勇気がない」、肯定文で失礼な行動を述べると「よくも〜する」「図々しくも〜する」という非難になりやすい表現です。
相手の勇気を素直に褒めたいなら have the courage to、厚かましい行動への驚きや怒りなら have the nerve to が自然です。
まずは次の2文を対にして覚えましょう。
- I didn’t have the nerve to ask.(聞く勇気がなかった)
- He had the nerve to complain.(彼はよくも文句を言えた)
ほかの英熟語や定型表現も体系的に学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧をご活用ください。









