
「なにしろ初めてなので」「何しろ時間がない」「なにしろ彼は頑固だから」。日本語の「なにしろ(何しろ)」は、相手に事情を説明したり、理由を強調したりするときに便利な言葉です。
英語では一語に固定せず、after all、you see、the thing is、anyway などを文脈で使い分けます。
先に結論!
- 相手も知っている理由を念押し → after all
- 背景事情を会話で補足 → you see
- 問題や事情を切り出す → the thing is
- 細部はさておき本題へ → anyway / at any rate
- 単に強く言うだけなら → so / really / simply
この記事は、日本語のニュアンス表現を英語で伝える方法シリーズの一つです。話の流れを作る表現は、対比・限定・話の流れを表す日本語ニュアンス表現でも一覧にしています。
Contents
「だって〜なのだから」のなにしろは after all
after all は、相手も知っている事実を理由として思い出させる表現です。「なにしろ〜だから」「だって〜なのだから」に合います。
Let’s give her some time. After all, it’s her first day.
彼女には少し時間をあげましょう。なにしろ初日ですから。
He knows this town well. After all, he grew up here.
彼はこの町をよく知っています。なにしろここで育ったのですから。
Don’t be too hard on yourself. You’re only human, after all.
自分に厳しくしすぎないで。なにしろ人間なんですから。
この after all は「結局」という結果ではなく、理由の念押しです。文頭にも文末にも置けます。
事情をやわらかく説明するなら you see
you see は、会話で背景事情を補足する「ほら」「実はね」「なにしろ」に近い表現です。言い訳や説明を少しやわらかく聞かせます。
I can’t stay long. You see, I have an early meeting tomorrow.
長居はできません。なにしろ明日は朝早く会議があるんです。
She’s a little nervous. You see, she’s never spoken in public before.
彼女は少し緊張しています。なにしろ人前で話すのは初めてなんです。
You see, we’ve been extremely busy this week.
なにしろ今週はものすごく忙しかったんです。
文中の you see は文字どおりの「あなたは見る」ではなく、聞き手に事情を分かってもらうための合図です。
言いにくい事情を切り出すなら the thing is
the thing is は「実は問題は」「というのも」と重要な事情を切り出すフレーズです。「なにしろ時間がなくて……」のような説明に自然です。
The thing is, we don’t have enough time.
なにしろ、時間が足りないんです。
I’d love to go. The thing is, I have to work this weekend.
ぜひ行きたいです。なにしろ今週末は仕事なんです。
The thing is, he doesn’t like sudden changes.
なにしろ彼は急な変更が苦手なんです。
you see が「背景の補足」なら、the thing is は「いちばん大事な事情を切り出す」感覚です。

「とにかく・いずれにせよ」に近いなら anyway
「なにしろ、まず始めよう」のように、細かい話を脇に置いて本題へ進む場合は anyway や at any rate が使えます。
Anyway, let’s get started.
なにしろ、とにかく始めましょう。
At any rate, we need to make a decision today.
何にせよ、今日は決める必要があります。
ただし、現代の「なにしろ」は理由説明に使うことが多いため、いつでも anyway にできるわけではありません。
英語では「なにしろ」を訳さないほうが自然なこともある
日本語の「なにしろ」が単に後ろの内容を強めている場合、英語では接続表現を足さず、so、really、simply などで強調すると自然です。
I was so busy that I forgot to eat lunch.
なにしろ忙しくて、昼食を食べるのを忘れました。
It was simply too expensive.
なにしろ高すぎました。
He’s really stubborn.
なにしろ彼は頑固なんです。
よくある「なにしろ〜」を英語で言うと?
なにしろ初めてなので
After all, it’s my first time.
なにしろ初めてですから。
You see, I’ve never done this before.
なにしろ、これをするのは初めてなんです。
なにしろ時間がない
The thing is, we don’t have much time.
なにしろ時間があまりありません。
We’re really short on time.
なにしろ時間がないんです。
なにしろ忙しい
You see, I’ve been really busy.
なにしろ、ずっと忙しかったんです。
I’ve just been so busy.
なにしろ本当に忙しくて。
なにしろ英語が苦手で
You see, I’m not very confident in my English.
なにしろ英語にあまり自信がなくて。
「苦手」を機械的に I’m bad at English. と言うより、I’m not very confident in my English. のほうがやわらかく響きます。
4つの表現の違いを比較
| 表現 | 中心ニュアンス | 向いている場面 |
|---|---|---|
| after all | 既知の理由を念押し | 「だって〜なのだから」 |
| you see | 背景を補足 | 会話で事情を説明 |
| the thing is | 重要な事情を切り出す | 問題・断り・言い訳 |
| anyway | 本題へ戻す | 「とにかく」に近い場合 |
「なにしろ」と「なぜなら」の違い
「なぜなら」は理由を論理的に示す言葉で、英語では because が基本です。一方「なにしろ」は、理由そのものより「この事情を考えれば分かるでしょう」という強調や語り手の気持ちを含みます。
I stayed home because it was raining.
雨だったので家にいました。
I stayed home. After all, it was pouring outside.
家にいました。なにしろ外は土砂降りでしたから。
初心者は after all と you see から
まずは、この2つを覚えれば十分です。
After all, it’s + 理由.
なにしろ〜ですから。
You see, I + 背景事情.
なにしろ、私は〜なんです。
例:After all, it’s his first day.(なにしろ彼は初日ですから)
You see, I have to work tomorrow.(なにしろ明日は仕事なんです)
しゅみすけ(大山俊輔)
初心者なら、これでOK!
「なにしろ・何しろ」にぴったりの難しい一語が出てこなくても大丈夫です。まずは After all, it’s + 理由. や You see, I + 背景事情. のように、知っている単語へ分解して伝えましょう。短くても、最後まで言い切れば会話はきちんと前へ進みます。
まとめ:「なにしろ」は理由をどう見せるかで決める
相手も知る理由の念押しなら after all、会話で事情を補うなら you see、問題を切り出すなら the thing is。本題へ進む「とにかく」なら anyway です。強調だけなら無理に訳さず、英語の文そのものを強くするのが自然です。
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