
steal someone’s thunder は、「人の手柄を横取りする」「相手が浴びるはずだった注目を奪う」という意味の英語イディオムです。
直訳すると「誰かの雷を盗む」。もちろん、空から雷を持ち去る話ではありません。相手が用意していたアイデア、発表、ニュースなどを先に出し、相手のインパクトや称賛を自分のものにしてしまう場面で使います。
I don’t want to steal your thunder.
あなたの見せ場を奪いたくないんだ。
この記事では、steal someone’s thunder の意味とニュアンス、直訳から現在の意味へのつながり、自然な語順、take credit for や upstage との違いを例文つきで解説します。
Contents
steal someone’s thunderの基本的な意味
steal someone’s thunder は、本来その人に向くはずだった注目・称賛・驚き・手柄を、別の人が先に奪うことを表します。
- 相手のアイデアを先に発表する
- 相手の大切なニュースより目立つニュースを同時に発表する
- 相手の成功や見せ場から注目をさらう
- 相手が考えたことを自分の功績のように見せる
She stole my thunder by announcing the idea before I could.
彼女は私より先にそのアイデアを発表して、私の手柄を横取りしました。
steal が入るため、基本的には「奪われた側にとって残念」という否定的な響きがあります。ただし、相手へ配慮するときの I don’t want to steal your thunder, but … は、失礼を避ける前置きとしても使われます。
しゅみすけ(大山俊輔)
「直訳」から「実際の意味」へ

直訳:誰かの雷を盗む
steal は「盗む」、thunder は「雷鳴」です。直訳の景色では、誰かが持っていた大きな雷の音や迫力を、別の人が持ち去るように見えます。
実際:相手のインパクトを先に奪う
雷は鳴った瞬間、周囲の注意を一気に集めます。その「大きな効果」を相手より先に使ってしまえば、相手が本来生み出すはずだった驚きや注目は弱くなります。
このため、意味は次のようにつながります。
誰かの雷を盗む
↓
相手が生み出すはずの大きな効果を奪う
↓
手柄・アイデア・注目・見せ場を横取りする
「物を盗む」というより、相手が主役になる瞬間を盗む表現だと考えると、会話でのニュアンスをつかみやすくなります。
なぜthunderなの?表現の由来
この表現の由来として広く知られているのが、18世紀初頭の劇作家ジョン・デニスにまつわる話です。
デニスは舞台で雷の音を表現する新しい方法を考えました。しかし、自分の劇が早く打ち切られたあと、別の劇でその雷の効果が使われたとされます。そこで、自分の「雷」を盗まれたという趣旨の言葉を発した――という逸話が、現在のイディオムにつながったと説明されています。
つまり、最初から天気の話だったのではなく、自分が考えた舞台効果を他人に使われ、注目まで奪われたという場面が、現在の「お株を奪う」に広がったわけです。
語源の細部には伝承的な部分もありますが、「自分が用意した効果を他人に先に使われる」という中心イメージは、現代の意味とよく一致します。
語順:someone’sを人に合わせて変える
基本形は steal + 人の所有格 + thunder です。
- steal my thunder:私の見せ場を奪う
- steal your thunder:あなたの手柄・注目を奪う
- steal his thunder:彼の見せ場を奪う
- steal her thunder:彼女の手柄を横取りする
- steal their thunder:彼らの注目を奪う
Sorry, I didn’t mean to steal your thunder.
ごめん、あなたの見せ場を奪うつもりはなかったんだ。
someone をそのまま使うのは、辞書で形を示すときです。実際の会話では my、your、Emma’s などに置き換えます。
時制はstealを変える
- steals my thunder:いつも/現在、私の見せ場を奪う
- is stealing my thunder:今、私の注目を奪っている
- stole my thunder:私の手柄を奪った
- has stolen my thunder:私の見せ場を奪ってしまった
steal–stole–stolen の不規則変化にも注意しましょう。
仕事で使うsteal someone’s thunder
仕事では、アイデア、提案、成果発表などの「誰の貢献か」が関わる場面で使われます。
Tom stole my thunder by presenting my suggestion as his own.
トムは私の提案を自分のものとして発表し、私の手柄を横取りしました。
I was going to share the sales results, but my manager stole my thunder.
私が売上結果を発表する予定でしたが、上司に先を越されて見せ場を奪われました。
ただし、深刻な盗用や不正を正式に訴える場合は、used my idea without credit や took credit for my work のように、何が起きたかを具体的に言うほうが明確です。
祝い事・人間関係で使う例
steal someone’s thunder は仕事だけでなく、誕生日、婚約、結婚式など「誰かが主役の日」にも使われます。
They waited a week to announce their engagement because they didn’t want to steal her thunder.
彼らは彼女の見せ場を奪いたくなかったので、婚約発表を1週間待ちました。
His surprise announcement stole the birthday girl’s thunder.
彼の突然の発表が、誕生日の彼女から注目を奪ってしまいました。
ここでは手柄を盗んだわけではありません。本来主役だった人への注目が別の人へ移ったことを表しています。
SNS・日常会話での例文
I was about to post the news, but you stole my thunder!
ちょうどそのニュースを投稿しようとしていたのに、先を越されたよ!
Not to steal your thunder, but I have some good news too.
あなたの見せ場を奪うつもりはないけど、私にもいいニュースがあるんだ。
Her dog completely stole her thunder in the video.
その動画では、彼女の犬が完全に彼女より注目を集めていました。
最後の例のように、意図的な横取りでなくても、結果として別の存在が注目をさらった場合に使えます。
steal someone’s thunderとtake credit forの違い
steal someone’s thunder
相手が得るはずだった注目・驚き・見せ場・インパクトを奪うことに焦点があります。
Her announcement stole my thunder.
彼女の発表のせいで、私の見せ場がなくなりました。
take credit for
take credit for A は、「Aを自分の功績だとする」「Aの手柄を取る」です。誰が仕事をしたか、誰が評価されるかに焦点があります。
He took credit for my work.
彼は私の仕事を自分の手柄にしました。
アイデアを盗んで発表した場面では両方使えることがありますが、steal my thunder は「先に発表されてインパクトを失った」、take credit for my work は「私の仕事を自分の功績にした」という違いがあります。
upstage・overshadowとの違い
upstage
upstage someone は、相手より目立って主役の座を奪うことです。舞台だけでなく、日常の注目争いにも使えます。
He tried to upstage the host.
彼は司会者より目立とうとしました。
steal someone’s thunder は、相手が用意していた発表や効果を先に奪う感じがより強くなります。
overshadow
overshadow は、別の出来事や人が大きすぎて、対象を目立たなくすることです。故意でなくても使えます。
The controversy overshadowed the team’s achievement.
その騒動のせいで、チームの成果がかすんでしまいました。
日本人が間違えやすいポイント
本物の雷を盗む意味ではない
天気の文脈で雷が消えたことを Someone stole the thunder. とは言いません。人の注目や功績が関わる比喩表現です。
単なる「先に言う」とも限らない
先に話しただけでなく、その結果として相手のインパクトや注目が弱くなったときにぴったりです。
強く責めて聞こえることがある
You stole my thunder. は、声の調子によっては明確な非難になります。軽い場面なら笑いながら言えますが、職場の手柄問題では関係を悪化させる可能性もあります。
thunderは複数形にしない
このイディオムでは通常、不可算的に thunder を使います。steal my thunders とはしません。
しゅみすけ(大山俊輔)
しゅみすけ式:簡単な英語で言い換える
steal someone’s thunder が出てこなければ、状況をそのまま短く説明しましょう。
- She shared my idea first.:彼女が私のアイデアを先に話した。
- He took credit for my work.:彼が私の仕事を自分の手柄にした。
- Everyone looked at him instead of me.:みんな私ではなく彼を見た。
- It was supposed to be her moment.:本来は彼女の見せ場だった。
- I wanted to announce it myself.:自分で発表したかった。
何を奪われたのかがはっきりしているなら、イディオムより簡単な文のほうが誤解なく伝わります。
まとめ
steal someone’s thunder は、「相手の手柄・アイデア・注目・見せ場を横取りする」という意味です。
- 直訳は「誰かの雷を盗む」
- thunderは場を驚かせる効果・インパクトのイメージ
- 基本形は steal + my/your/herなど + thunder
- 仕事の手柄だけでなく、祝い事やSNSの注目にも使える
- take credit for は功績、upstage は目立ち方に焦点がある
- 出てこなければ、誰が何を先にしたかを簡単に説明すればよい
天気を使ったほかの表現は、天気を使った英語イディオムの一覧でも紹介しています。
さらに学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧もご覧ください。











