
It wouldn’t hurt to ask. は、直訳すると「尋ねても害にはならないでしょう」。会話では、「聞いてみても損はないよ」「一度聞いてみるといいかも」という控えめな提案になります。
wouldn’t hurt は、相手に強く命令せず、「しても悪い結果にはならない」という方向から行動を勧める表現です。この記事では、意味の成り立ち、It wouldn’t hurt to+動詞の語順、主語を変えた形、自然な例文、can’t hurt・You might want to・shouldとの違いまで解説します。
Contents
It wouldn’t hurt toの意味
It wouldn’t hurt to+動詞の原形 は、文脈に応じて次のように訳せます。
- 〜しても損はない
- 〜しておいても悪くない
- 〜してみるといいかもしれない
- 念のため〜しておくとよい
It wouldn’t hurt to check the address again.
住所をもう一度確認しても損はありません。
It wouldn’t hurt to bring an umbrella.
傘を持っていっても悪くないでしょう。
It wouldn’t hurt to apologize first.
先に謝っておくのもよいかもしれません。
日本語訳では「傷つかない」とする必要はありません。「それをしても困らない」から、「むしろしておくと役立つ」という提案へ意味が広がっています。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜ「害はない」が提案になるの?
hurt の基本は「傷つける・痛む」ですが、物理的な痛みだけでなく、「害になる・悪影響を与える」という意味でも使われます。
It won’t hurt you.
それであなたが傷つくことはありません。
A short break won’t hurt.
少し休んでも悪影響はありません。
ここに仮定的で距離を置く wouldn’t を使うと、「もしそうしたとしても、害にはならないでしょう」という響きになります。そこから、相手の自由を残した控えめな提案になります。
考え方は次の流れです。
それをしても害はない → マイナスにはならない → してみてもいい
wouldn’t hurtの3つの語順

It wouldn’t hurt to+動詞の原形
最も覚えやすく、提案に使いやすい形です。形式主語の It を置き、具体的な行動を to+動詞 で続けます。
It+wouldn’t+hurt+to+動詞の原形
It wouldn’t hurt to call ahead.
事前に電話しておいてもよいでしょう。
It wouldn’t hurt to get a second opinion.
別の意見も聞いてみて損はないでしょう。
名詞+wouldn’t hurt
役立ちそうな物・量を主語にできます。
A little more practice wouldn’t hurt.
もう少し練習しても損はないでしょう。
Some extra cash wouldn’t hurt.
余分な現金が少しあっても困らないでしょう。
A cup of coffee wouldn’t hurt.
コーヒーを一杯飲むのも悪くないですね。
動名詞+wouldn’t hurt
行動そのものを主語にしても自然です。
Checking the details again wouldn’t hurt.
詳細をもう一度確認しても損はないでしょう。
Talking to her directly wouldn’t hurt.
彼女と直接話してみてもよいでしょう。
日常会話で使える例文
仕事
It wouldn’t hurt to back up the files before the update.
更新前にファイルをバックアップしておいて損はありません。
It wouldn’t hurt to confirm the deadline in writing.
締め切りを書面で確認しておいてもよいでしょう。
A short summary at the top wouldn’t hurt.
冒頭に短い要約があってもよいですね。
旅行
It wouldn’t hurt to download the map before we leave.
出発前に地図をダウンロードしておいても悪くありません。
It wouldn’t hurt to arrive a little early.
少し早めに到着しても損はないでしょう。
An extra copy of your passport wouldn’t hurt.
パスポートのコピーをもう一部用意しておいてもよいでしょう。
恋愛・人間関係
It wouldn’t hurt to tell him how you feel.
自分の気持ちを彼に話してみてもよいかもしれません。
It wouldn’t hurt to give her some space.
彼女を少しそっとしておくのもよいでしょう。
A sincere apology wouldn’t hurt.
心から謝っておいても損はないでしょう。
家庭・暮らし
It wouldn’t hurt to label the boxes.
箱にラベルを付けておいてもよいでしょう。
A little rest wouldn’t hurt.
少し休んでもよいでしょう。
It wouldn’t hurt to ask the neighbors first.
まず近所の人に聞いてみても損はありません。
wouldn’t hurtは失礼になることもある?
wouldn’t hurt は控えめな形ですが、内容や口調によっては遠回しな批判に聞こえます。
It wouldn’t hurt to say thank you.
ありがとうくらい言ってもいいんじゃないですか。
It wouldn’t hurt to be on time for once.
たまには時間どおりに来てもいいんじゃないですか。
このような文は、表面上は提案でも、「本来そうするべきなのに、あなたはしていない」という不満を含みます。特に for once(一度くらい・たまには)が加わると批判的になりやすいので注意しましょう。
純粋な提案だと伝えたい場合は、理由を添えると自然です。
It wouldn’t hurt to leave early, just in case there’s traffic.
渋滞しているかもしれないので、念のため早めに出てもよいでしょう。
しゅみすけ(大山俊輔)
can’t hurt・couldn’t hurtとの違い
It can’t hurt to
It can’t hurt to… も「〜しても損はない」という意味です。一般的・現実的な判断として、「悪影響になるはずがない」と比較的はっきり述べます。
It can’t hurt to ask.
聞いてみても損はないよ。
It couldn’t hurt to
It couldn’t hurt to… は会話でよく使われ、wouldn’t hurt と非常に近い意味です。「してみても悪くはない」という柔らかな勧めになります。
It couldn’t hurt to double-check.
念のため再確認しても損はないでしょう。
It wouldn’t hurt to
It wouldn’t hurt to… は、仮にそうした場合を思い描きながら提案する響きがあります。3つの差は絶対的ではなく、実際の強さは口調や文脈にも左右されます。
- can’t hurt:害になるはずがない、と比較的直接的
- couldn’t hurt:しても悪くない、という柔らかな勧め
- wouldn’t hurt:仮にしても害はない、という控えめな提案
You might want to・shouldとの違い
どれも「〜したほうがよい」と訳せますが、提案の組み立て方が違います。
- It wouldn’t hurt to check.:確認してもマイナスにはならない
- You might want to check.:確認することを選択肢として勧める
- You should check.:確認するのがよい、と直接助言する
wouldn’t hurt は行動の安全性・有用性に焦点を当てます。You might want to は相手を主語にしつつ、選択肢としてやんわり示します。詳しくは、You might want toの意味とshould・had betterとの違いをご覧ください。
相手に案を尋ねる How about doing? とは違い、wouldn’t hurt は話し手自身が「しても悪くない」と評価して差し出す提案です。How aboutの語順は、How aboutの意味・How about youとdoingの使い方で解説しています。
日本人が間違えやすいポイント
It wouldn’t hurt doingとはしない
形式主語の It で始める基本形は、It wouldn’t hurt to+動詞の原形 です。
- 正:It wouldn’t hurt to ask.
- 不自然:It wouldn’t hurt asking.
動名詞を使うなら、その行動を主語にします。
Asking wouldn’t hurt.
聞いてみても損はないでしょう。
wouldn’tの後ろはhurtの原形
would は助動詞なので、後ろは hurt の原形です。hurts や hurted にはしません。hurt は原形・過去形・過去分詞がすべて hurt です。
文字どおりの意味も忘れない
常に提案になるわけではありません。
It wouldn’t hurt if you touched it gently.
そっと触れば痛くないでしょう。
身体的な痛みや実際の害について話している文脈では、文字どおり「痛くない・害にならない」という意味です。
簡単な英語で言い換えるなら
wouldn’t hurt が出てこなければ、次の基本表現で十分伝わります。
- Maybe you can ask.:聞いてみてもいいかも
- You can try it.:試してみてもいいよ
- I think it’s a good idea to check.:確認するのはよい考えだと思います
- Let’s check again.:もう一度確認しましょう
難しい婉曲表現を無理に使うより、相手との関係や場面に合う短い文を選ぶほうが自然です。
まとめ
It wouldn’t hurt to+動詞の原形 は、「〜しても損はない」「〜してみるとよいかもしれない」という控えめな提案です。「害にはならない」から「むしろ役立つかもしれない」へ意味が広がっています。
A little rest wouldn’t hurt. のように名詞を主語にしたり、Checking again wouldn’t hurt. のように動名詞を主語にしたりすることもできます。ただし、マナーやミスを指摘する文では皮肉・批判にも聞こえるため、口調と文脈に注意しましょう。
ほかの会話表現は、英熟語・定型表現の一覧から探せます。









