
会社を辞めるときに上司へ感情をぶつける、取引先との関係を勢いで切る、友人と二度と話せないような別れ方をする。こうした「将来戻れる道まで自分で壊す」行動を、英語では burn bridges と表現します。
直訳は「橋を燃やす」。実際には、人間関係を修復できないほど壊す・将来使える選択肢や戻る道を断つという意味です。多くの場合、「今は腹が立っていても、後で必要になる関係まで壊さないほうがよい」という警告で使われます。
Contents
burn bridgesの基本的な意味
burn bridges は、自分の言動によって過去の関係へ戻れなくしたり、将来助けてもらえる可能性を失ったりすることを表すイディオムです。
- 人間関係を修復不能なほど壊す
- 以前の職場や立場へ戻る道を断つ
- 将来の協力・再交渉の可能性を失う
- 後戻りできない状況を自分で作る
Be honest when you resign, but don’t burn bridges.
退職するときは正直でいても、関係まで壊さないようにしましょう。
His angry email burned several important bridges.
彼の怒りに任せたメールは、いくつもの重要な関係を壊しました。
日本語では「退路を断つ」と訳されることもありますが、前向きに覚悟を決めるというより、将来必要になるかもしれないつながりや選択肢を失うという否定的なニュアンスが中心です。
しゅみすけ(大山俊輔)
なぜ「橋を燃やす」が「関係を壊す」になる?
橋は、離れた二つの場所をつなぎ、人が行き来できるようにします。その橋を渡ったあとで燃やしてしまえば、元の場所へ簡単には戻れません。
この物理的な光景を人間関係やキャリアに重ねると、意味の流れが見えてきます。
- 橋がある:相手とつながっている・戻る道がある
- 橋を燃やす:つながりを自分で壊す
- 橋がなくなる:将来、仲直りしたり戻ったりできない

「橋」は人と人、現在と過去、今の場所と元の場所をつなぐ比喩です。そこからburn bridgesは、単に別の道を選ぶのではなく、以前の道を使えない状態にしてしまうことを表します。
よく使う形と語順
burn bridges:関係や戻る道を壊す
目的となる特定の相手を言わず、複数の人間関係や将来の可能性をまとめて表す基本形です。
Leaving is fine, but there’s no need to burn bridges.
辞めるのは構いませんが、関係まで壊す必要はありません。
burn your bridges:自分が戻れる橋を壊す
your / my / his / her などの所有格を使う形も一般的です。特にイギリス英語では burn one’s bridges の形がよく見られます。
Think carefully before you burn your bridges with the company.
その会社との関係を完全に壊す前に、よく考えてください。
burn bridges with+人・組織
誰との関係を壊したのかを続けるなら、with を使えます。
She burned bridges with several former colleagues.
彼女は何人かの元同僚との関係を壊しました。
burn all your bridges
all を加えると、「戻れる道をすべて断つ」という強い表現になります。
Don’t burn all your bridges over one disagreement.
一度の意見の対立で、すべてのつながりを壊さないでください。
過去形はburned bridges?burnt bridges?
burn の過去形・過去分詞には burned と burnt の両方があります。
- burned:アメリカ英語を中心に広く使われる
- burnt:イギリス英語で動詞・形容詞としてよく使われる
He burned his bridges when he insulted his former boss.
元上司を侮辱したことで、彼は戻る道を断ちました。
By then, she had burnt all her bridges.
その頃までに、彼女はすべてのつながりを失っていました。
どちらも間違いではありません。学習者はまず、幅広く使える burned bridges を使えるようにするとよいでしょう。
ネイティブが感じるニュアンス
単に離れるのではなく、戻る可能性まで壊す
会社を円満に辞めるだけなら、橋は残っています。将来また一緒に働いたり、推薦を頼んだりできるからです。しかし、最後に相手を侮辱すれば、その可能性まで失います。この「将来への影響」がburn bridgesの中心です。
意図的な場合も、感情的な結果の場合もある
本人が「二度と戻らない」と決めて意図的に橋を燃やすこともあれば、怒りに任せた行動の結果として、気づかないうちに関係を壊すこともあります。
I didn’t mean to burn bridges; I was just upset.
関係を壊すつもりはなく、ただ腹を立てていただけです。
警告・助言で特によく使う
Don’t burn bridges. は、仕事や人間関係で感情的な決断をしそうな相手への実用的な助言です。「その人が好きでなくても、将来どこで再会するか分からない」という含みがあります。
It’s a small industry, so try not to burn bridges.
狭い業界なので、関係を壊さないようにしたほうがいいですよ。
場面別の自然な例文
退職・転職
A: I want to tell my manager exactly what I think before I leave.
A:辞める前に、上司へ思っていることを全部言いたい。
B: I understand, but don’t burn your bridges.
B:気持ちは分かるけど、将来の関係まで壊さないほうがいいよ。
She thanked everyone before leaving because she didn’t want to burn bridges.
彼女は関係を悪くしたくなかったので、退職前に全員へ感謝を伝えました。
仕事・取引
Rejecting the offer politely won’t burn any bridges.
丁寧に提案を断れば、今後の関係を壊すことはありません。
Publicly blaming the client could burn an important bridge.
顧客を公に非難すると、大切な関係を一つ失う可能性があります。
恋愛・友人関係
I want to end the relationship without burning bridges.
関係を修復不能にせず、穏やかに別れたいです。
Posting private messages online burned every bridge between them.
個人的なメッセージをネットへ公開したことで、二人の関係は完全に壊れました。
学校・学習
Don’t burn bridges with your classmates over one group project.
一度のグループ課題のために、クラスメートとの関係を壊さないでください。
家族
He apologized before the argument burned more bridges in the family.
その口論で家族関係がさらに壊れる前に、彼は謝りました。
cut tiesとの違い
cut ties with someone は、「人とのつながりを断つ」という直接的な表現です。関係を終わらせる行動に焦点があり、有害な相手から離れる場合など、必要で前向きな判断にも使えます。
She cut ties with her dishonest business partner.
彼女は不誠実なビジネスパートナーとの関係を断ちました。
burn bridgesは、関係を終えるだけでなく、将来またつながる可能性まで壊すという後悔や警告のニュアンスが強くなります。
ruin a relationshipとの違い
ruin a relationship は「関係を台無しにする」という直接的な説明です。何が壊れたかに焦点があります。
One lie ruined their relationship.
一つのうそが二人の関係を台無しにしました。
burn bridgesは、関係が悪化した結果として、協力・復職・再交渉などの戻るルートが失われる点まで含みます。
leave the door openとの違い
leave the door open はburn bridgesと反対方向の表現です。直訳は「ドアを開けたままにする」で、将来の可能性を残すことを表します。
I declined the job, but I left the door open for future opportunities.
その仕事は断りましたが、将来の機会につながる余地は残しました。
選択肢を壊すburn bridgesと、選択肢を残すleave the door openを対で覚えると分かりやすくなります。
come betweenとの違い
come between A and B は、何かが二人の仲を邪魔したり、距離を生んだりすることです。まだ修復不能とは限りません。
Don’t let money come between you and your friend.
お金のせいで友達との仲を悪くしないでください。
詳しい語順は、come betweenの意味・使い方で確認できます。
日本人が間違えやすいポイント
日本語の「背水の陣」と同じではない
自分を奮い立たせるために退路を断つ、という前向きな決意を表したいなら、burn bridgesは否定的すぎる場合があります。
I committed fully to the new project.
新しいプロジェクトへ全力で取り組むと決めました。
このような直接表現のほうが、不要な「人間関係を壊した」という含みを避けられます。
bridgeは複数形が基本
一般的な人間関係や選択肢をまとめて言うときは burn bridges が基本です。特定の一つの関係なら burn a bridge も可能です。
物理的な火事と混同しない
本当に橋が燃えた場合にも同じ単語列は使えます。人・会社・将来の選択肢が話題ならイディオム、火災や建物が話題なら文字どおりの意味です。
しゅみすけ(大山俊輔)
しゅみすけ式:簡単な英語で言い換える
- Don’t ruin the relationship.
その関係を壊さないで。 - We may need their help later.
後で彼らの助けが必要になるかもしれません。 - Leave on good terms.
良い関係のまま去りましょう。 - Don’t make it impossible to go back.
戻れない状態にしないで。 - Keep your options open.
選択肢を残しておきましょう。
イディオムが出てこなければ、「後でまた助けが必要かもしれない」と理由まで短く説明すれば、意図は十分に伝わります。
まとめ
burn bridges は、「人間関係を修復不能なほど壊す」「将来戻れる道や選択肢を断つ」という意味です。
- burn bridges:関係・将来の可能性を壊す
- burn your bridges:自分の戻れる道を断つ
- burn bridges with someone:誰かとの関係を壊す
- burned / burnt bridges:過去形はどちらも可能
- cut tiesは関係を断つ行動、ruin a relationshipは関係を台無しにする結果
- leave the door openは将来の可能性を残す反対表現
橋を燃やして元の場所へ戻れなくなる絵を、人や会社との「つながり」に重ねて覚えましょう。ほかの表現は、英熟語・定型表現のまとめから確認できます。











