
the pot calling the kettle black は、自分にも同じ欠点があるのに相手を批判することを表す英語のイディオムです。日本語なら「自分のことを棚に上げる」「お前が言うな」「よく言うよ」に近い表現です。
ポイントは、単に「二人とも同じ」という意味ではないことです。同じ欠点を持つ人が、相手だけを責めているという矛盾や偽善を皮肉ります。
まず覚えたい基本形
- That’s the pot calling the kettle black.
それは「お前が言うな」だね。 - Talk about the pot calling the kettle black!
まさに自分のことを棚に上げているよ! - It’s a case of the pot calling the kettle black.
自分も同じなのに相手を責めているケースです。
Contents
the pot calling the kettle blackの意味
直訳すると「鍋がやかんを黒いと呼ぶこと」です。昔の調理器具は火やすすで黒くなりやすく、鍋自身も黒いのに、やかんだけを見て「黒い」と批判する――というおかしさが中心にあります。
そのため実際の会話では、「あなたにも同じ問題があるのに、他人を批判できる立場なの?」という気持ちを表します。人の外見や色について述べる表現ではありません。
Ken complained that I’m always late, but he was an hour late yesterday. That’s the pot calling the kettle black.
ケンは私がいつも遅刻すると文句を言いましたが、昨日は自分が1時間遅刻しました。まさに「お前が言うな」です。
しゅみすけ(大山俊輔)
ネイティブが感じるニュアンス
この表現には、たいてい皮肉・あきれ・矛盾の指摘が含まれます。冗談っぽく言える場面もありますが、相手に直接使うと「あなたに言われたくない」と反撃する響きになるため、関係や場面には注意が必要です。
友人同士なら軽いツッコミとして使えます。一方、上司や顧客などに面と向かって言うと対立的に聞こえることがあります。仕事では、人ではなく状況を主語にした That seems a little inconsistent.(少し一貫していないようです)のほうが無難な場合もあります。
よく使われる形と語順
That’s the pot calling the kettle black.
最も覚えやすい完成形です。直前の発言や批判を That で受けます。
A: Maya spends too much money.
B: That’s the pot calling the kettle black. You bought three pairs of shoes this week.
A:マヤはお金を使いすぎだよ。
B:よく言うよ。あなたは今週、靴を3足も買ったでしょう。
Talk about the pot calling the kettle black!
Talk about …! は「まさに〜とはこのことだ」という感嘆です。矛盾が特に目立つときに使います。
He called the room messy? Talk about the pot calling the kettle black!
彼がその部屋を散らかっていると言ったの? 自分のことを棚に上げるとはまさにこのことだね。
It’s a case of the pot calling the kettle black.
第三者に状況を説明する形です。本人への直接的な言い返しより、少し距離を置いて分析する響きになります。
Both companies criticize each other’s customer service. It’s a case of the pot calling the kettle black.
両社は互いの顧客対応を批判しています。自分も同じ問題を抱えながら相手を責めている状態です。
場面別の自然な例文
仕事
Our manager blamed us for sending late reports, but she approved the data two days late. It felt like the pot calling the kettle black.
上司は報告書の提出が遅いと私たちを責めましたが、彼女自身がデータの承認を2日遅らせました。「お前が言うな」という感じでした。
恋愛・人間関係
Leo says I check my phone too often, but he scrolls through social media during dinner. That’s the pot calling the kettle black.
レオは私がスマホを見すぎだと言いますが、彼も夕食中にSNSを見ています。よく言うよ、という話です。
家庭
My brother told me to clean the kitchen while his room was covered in clothes. Talk about the pot calling the kettle black!
兄は自分の部屋を服だらけにしたまま、私にキッチンを片づけろと言いました。まさに自分のことを棚に上げています。
学校・学習
She laughed at my spelling mistake, but her email had five typos. It was the pot calling the kettle black.
彼女は私のスペルミスを笑いましたが、彼女のメールには誤字が5つありました。まさに「お前が言うな」でした。

You’re one to talk.との違い
You’re one to talk. も「あなたに言われたくない」「よく言うよ」という意味です。違いは文の使い方にあります。
- the pot calling the kettle black:状況そのものをイディオムで説明できる
- You’re one to talk.:批判してきた本人へ短く直接言い返す
A: You’re terrible at saving money.
B: You’re one to talk. You used all your bonus last weekend.
A:本当に貯金が苦手だね。
B:あなたに言われたくないよ。先週末にボーナスを全部使ったでしょう。
短い会話表現を詳しく知りたい方は、You’re one to talk.の意味・使い方も参考にしてください。
six of one and half a dozen of the otherとの違い
six of one and half a dozen of the other は「どちらも実質的に同じ」「どちらを選んでも大差がない」という意味です。必ずしも誰かが相手を批判している必要はありません。
| 表現 | 中心となる意味 | 批判する人 |
|---|---|---|
| the pot calling the kettle black | 自分も同じ欠点なのに相手を批判 | 必要 |
| six of one and half a dozen of the other | 二者に実質的な差がない | 不要 |
| You’re one to talk. | 「あなたに言われたくない」と直接返す | 目の前の相手 |
「五十歩百歩」「どっちもどっち」の英語については、six of one and half a dozen of the otherの解説で詳しく比較しています。
日本人が間違えやすいポイント
単に「二人とも悪い」だけでは使わない
二人に同じ欠点があっても、誰も相手を批判していなければ、このイディオムの核心がありません。その場合は They both have the same problem.(二人とも同じ問題を抱えています)などが自然です。
基本のtheを落とさない
定型表現は通常、the pot calling the kettle black です。a pot や a kettle に自由に置き換えるより、まとまりで覚えましょう。
blackを人の特徴として解釈しない
ここでの black は、すすで黒くなった調理器具のイメージです。人種や肌の色を評する意味ではありません。
目上の人には慎重に使う
内容としては相手の偽善を指摘するため、丁寧な単語を選んでも批判性は残ります。職場では事実を説明して We seem to be applying different standards.(異なる基準を当てはめているようです)と言うほうが建設的な場合があります。
簡単な英語で言い換える「しゅみすけ式」
長いイディオムがすぐに出てこなくても、意味を直接伝えれば十分です。
- You do the same thing.
あなたも同じことをしています。 - You have the same problem.
あなたにも同じ問題があります。 - You can’t criticize her for that. You do it too.
そのことで彼女を責められないよ。あなたもしているでしょう。 - He’s criticizing her for something he does himself.
彼は自分もしていることで彼女を批判しています。
しゅみすけ(大山俊輔)
よくある質問
「お前が言うな」はいつもこの表現でいい?
第三者に状況を説明するなら That’s the pot calling the kettle black. がぴったりです。本人へ短く返すなら You’re one to talk. が会話では使いやすいでしょう。
hypocriteとの違いは?
hypocrite は「偽善者」という人を指す名詞で、かなり強いラベルになり得ます。the pot calling the kettle black は、同じ欠点を持ちながら相手を批判する特定の発言・状況を指摘できます。
過去の出来事にも使える?
使えます。That was the pot calling the kettle black. や It was a case of the pot calling the kettle black. のように was を使います。
まとめ
- the pot calling the kettle black は「自分も同じ欠点があるのに相手を批判すること」
- 日本語の「自分のことを棚に上げる」「お前が言うな」に近い
- That’s the pot calling the kettle black. が基本形
- six of one … は単に二者に大差がない場合にも使える
- You’re one to talk. は本人へ直接返す短い表現
- 出てこなければ You do the same thing. で伝えられる
ほかのイディオムも体系的に学びたい方は、英熟語・定型表現の一覧もご覧ください。











