
「できると思っても、できないと思っても、その通りになる」という言葉で知られるヘンリー・フォード(Henry Ford)。しかしネット上には、出典をたどれない“フォードの名言”も少なくありません。
この記事では、ヘンリー・フォード博物館の調査資料と、本人公認の協働著作『My Life and Work』で確認できる英語の名言を7つ厳選。自然な和訳、発言の背景、英語表現のポイント、初心者向けの短い例文とともに紹介します。
Contents
ヘンリー・フォードとは
ヘンリー・フォード(1863–1947)は、フォード・モーター・カンパニーを創業したアメリカの実業家です。自動車そのものの発明者ではありませんが、Model Tと移動式組立ラインによって生産の仕組みを変え、自動車をより多くの人が利用できる製品へ近づけました。
フォードの言葉には、ひらめきを実用品に変えること、失敗を改善の材料にすること、利益より先に社会への奉仕を置くことなど、現場で試し続けた人ならではの実践性があります。
ヘンリー・フォードの英語の名言7選
1.本当の教養は、知識と行動の両方にある
That man is best educated who knows the greatest number of things that are so, and who can do the greatest number of things to help and heal the world.
自然な和訳:真に教養ある人とは、真実を数多く知り、世界を助け、よりよくするために多くのことを実行できる人だ。
背景:1922年1月1日付の『Ford News』に掲載された言葉です。知識量だけでなく、それを人や社会のために使う力まで含めて教育を捉えています。
英語ポイント:who knows … and who can do … は、先行詞 man を2つの関係代名詞節で説明しています。help and heal は「助け、癒やす/立て直す」です。
初心者例文:Use your skills to help others.
自分のスキルを人のために使おう。
2.簡単に得られる短い成功には、大きな価値はない
The short successes that can be gained in a brief time and without difficulty, are not worth much.
自然な和訳:短期間で、苦労せずに得られる一時的な成功には、それほど価値はない。
背景:同じく1922年1月1日付『Ford News』の言葉です。フォードは目先の成果より、時間をかけて価値を生む仕事を重視しました。
英語ポイント:be worth + 名詞 は「〜の価値がある」。without difficulty は「困難なしに、苦労せずに」です。
初心者例文:This goal is worth the effort.
この目標には努力する価値があります。
3.信じるとは、試してみることでもある
Most people think that faith means believing something; oftener it means trying something, giving it a chance to prove itself.
自然な和訳:多くの人は、信念とは何かを信じることだと考える。けれど実際には、何かを試し、それが真価を示す機会を与えることを意味する場合のほうが多い。
背景:1922年6月1日付『Ford News』に掲載。頭の中で信じるだけでなく、実際に試すところまでを faith と呼んでいます。
英語ポイント:give A a chance to do は「Aに〜する機会を与える」。prove itself は「それ自体の価値を証明する」です。
初心者例文:Give your idea a chance.
自分のアイデアにチャンスを与えよう。

4.不要なことを上手にするだけでは、進歩ではない
There is no progress in merely finding a better way to do a useless thing.
自然な和訳:不要なことを、より上手に行う方法を見つけるだけでは進歩とはいえない。
背景:1922年11月15日付『Ford News』の問題解決に関する言葉です。効率化する前に、その仕事自体が必要なのかを問う視点があります。
英語ポイント:There is no progress in doing は「〜することに進歩はない」。merely は「単に、ただ」です。
初心者例文:First, ask if the task is necessary.
まず、その作業が必要かを考えよう。
5.失敗は、より賢く始め直す機会
Failure is only the opportunity more intelligently to begin again.
自然な和訳:失敗とは、より賢いやり方でもう一度始めるための機会にすぎない。
背景:1922年の公認協働著作『My Life and Work』にある一節です。続けてフォードは、正直な失敗は恥ではなく、失敗を恐れることこそ問題だと述べています。
英語ポイント:opportunity to do は「〜する機会」。begin again は「もう一度始める」で、more intelligently が再挑戦の方法を説明します。
初心者例文:Learn, and begin again.
学んで、もう一度始めよう。
6.アイデアは、実用品にしてこそ意味がある
The thing that counts is developing it into a practical product.
自然な和訳:大切なのは、そのアイデアを実際に役立つ製品へ育てることだ。
背景:『My Life and Work』の冒頭で、フォードは「アイデアはただのアイデアにすぎず、ほとんど誰にでも思いつける」と述べた後、この言葉を置いています。
英語ポイント:the thing that counts は「重要なこと」。develop A into B は「AをBへ発展させる」です。
初心者例文:Turn your idea into action.
アイデアを行動に変えよう。
7.あらゆる仕事は、もっとよくできる
Everything can always be done better than it is being done.
自然な和訳:どんなことでも、今のやり方よりさらによくすることができる。
背景:『My Life and Work』で、フォードが工場の伝統として挙げた言葉です。「完成した方法」に安住せず、現場の提案から仕事を改善し続ける姿勢を表しています。
英語ポイント:can be done は受け身で「行うことができる」。better than … は比較級で「〜よりよく」です。
初心者例文:We can do this better.
私たちはこれをもっとよくできます。
有名な「できると思っても、できないと思っても」は?
旧記事で紹介していた Whether you think you can, or you think you can’t—you’re right. は、ヘンリー・フォードの言葉として非常に有名です。しかし、ヘンリー・フォード博物館の「一次資料または信頼できる二次資料まで確認できた名言一覧」には収録されていません。
意味のある言葉ではありますが、本記事では本人の発言として確実にたどれる7つと分けて扱いました。同様に「顧客に何が欲しいか尋ねたら、もっと速い馬と答えただろう」も、出典未確認のため名言7選には含めていません。
フォードの言葉から英語学習者が学べること
フォードの言葉に共通するのは、完璧な準備を待つより、試して、結果を見て、もう一度よくする姿勢です。英語も同じで、短い一文を口にし、通じなかった点を直し、また話す。その繰り返しが実用的な力になります。
特に Failure is only the opportunity more intelligently to begin again. は、間違いを「能力がない証拠」ではなく「次の方法を賢くする材料」と捉え直せる言葉です。
仕事・成功の言葉をテーマで読む
行動、改善、働く意味について人物を越えて読みたい方は、仕事・成功の英語の名言集もどうぞ。
出典・参考資料
- Henry Ford Quotations – The Henry Ford
- My Life and Work – Project Gutenberg
- My Life and Work – Library of Congress










