アドラーの英語の名言7選|劣等感・勇気・人生の意味を語る言葉

対等な対話を大切にするアルフレッド・アドラーのイメージ

失敗した経験があるから、もう挑戦できない。自信がついてから、誰かの輪に入りたい。そう考えたとき、アルフレッド・アドラー(Alfred Adler, 1870–1937)の言葉は、過去の原因よりもこれから何を目指し、どう人と関わるかへ視線を向けます。

この記事では、アドラーの著作やアドラー心理学の資料にたどれる英語の言葉を7つ選び、日本語訳、文法、発音、日常会話への応用とともに紹介します。

「アドラー心理学の考え」と「アドラー本人の名言」は別です
日本で広く知られる「課題の分離」「嫌われる勇気」などの日本語表現には、後世の解説や再構成も含まれます。この記事では、本人の英文として出典をたどれる言葉を中心に扱い、出典不明の短文は断定しません。

アドラーとは?|劣等感を「前へ進む力」として考えた心理学者

アドラーはウィーン生まれの医師・心理学者で、個人心理学(Individual Psychology)を創始しました。一時はフロイトの研究グループに参加しましたが、やがて独自の道へ進みます。

アドラーにとって人は、過去の原因だけで機械的に決まる存在ではありません。自分の経験に意味を与え、目標へ向かって行動し、仕事・友情・愛という人生の課題を他者と協力して生きる存在です。劣等感も、それ自体が悪いのではなく、成長への動きにも、優越を誇示する動きにもなり得ると考えました。

アドラーの英語の名言7選

1. Meanings are not determined by situations, but we determine ourselves by the meanings we give to situations.

Meanings are not determined by situations, but we determine ourselves by the meanings we give to situations.

意味は状況によって決まるのではない。私たちは、状況に与える意味によって自分自身を方向づける。

『What Life Should Mean to You』にある、アドラーの考えを端的に示す一文です。出来事をなかったことにはできません。しかし、その出来事が「自分には無理だ」という証明になるのか、「次の方法を考える材料」になるのかは同じではありません。

be determined by … は「…によって決定される」、the meaning we give to … は「私たちが…に与える意味」。This mistake doesn’t define me.(この失敗が私を決めるわけではない)のように会話へ落とせます。

2. No experience is a cause of success or failure.

No experience is a cause of success or failure.

どんな経験も、それ自体が成功や失敗の原因なのではない。

この後でアドラーは、人は経験そのものの衝撃だけで決まるのではなく、経験から自分の目的に合うものを形づくる、と述べます。苦痛やトラウマの影響を軽く扱うための言葉ではありません。経験と未来を一本の線で固定しない、という主張です。

a cause of … は「…の原因」。初心者なら One bad experience doesn’t decide your future.(一度の悪い経験が未来を決めるわけではありません)と言えます。

3. To be a human being means to possess a feeling of inferiority which constantly presses towards its own conquest.

To be a human being means to possess a feeling of inferiority which constantly presses towards its own conquest.

人間であるとは、絶えず克服へ向かおうとする劣等感を持つことである。

アドラーの feeling of inferiority は、単に「自分はダメだ」と落ち込むことではありません。未熟さや不足を感じることは、人間が成長へ動く出発点にもなります。問題になるのは、他者を支配したり、挑戦を避けたりする方法で埋め合わせようとするときです。

To be A means to … は「Aであるとは…することだ」。Feeling behind can motivate us to learn.(遅れている感覚が学ぶ動機になることもあります)と応用できます。

橋の上で互いに手を差し伸べながら進む人々のイメージ

4. Life is just the same as learning to swim.

Life is just the same as learning to swim. Do not be afraid of making mistakes, for there is no other way of learning how to live!

人生は、水泳を学ぶこととまったく同じだ。間違いを恐れてはいけない。生き方を学ぶ方法は、ほかにないのだから。

岸の上で泳ぎ方を完璧に理解しても、水に入らなければ泳げません。アドラーの「勇気」は、恐怖が消えることではなく、不完全なまま人生の課題へ参加することにつながります。

be afraid of -ing は「〜することを恐れる」。Don’t be afraid of making mistakes in English.(英語で間違うことを恐れないで)は、そのまま英語学習に使えます。

5. To see with the eyes of another, to hear with the ears of another, to feel with the heart of another.

To see with the eyes of another, to hear with the ears of another, to feel with the heart of another.

他者の目で見て、他者の耳で聞き、他者の心で感じること。

アドラーが社会的感情(social feeling)を説明するときの表現です。相手の考えに必ず同意することではなく、その人の位置から世界がどう見えるかを想像する姿勢です。

with the eyes of … は「…の目で」。日常なら Let me try to see it from your point of view.(あなたの視点から考えてみます)が自然です。

6. It is the individual who is not interested in his fellow men who has the greatest difficulties in life.

It is the individual who is not interested in his fellow men who has the greatest difficulties in life.

人生で最も大きな困難を抱えるのは、仲間である人間に関心を持たない人である。

アドラー心理学では、心の健康を個人の内側だけで完結させません。人は所属し、貢献し、協力するなかで自分の居場所を感じます。ここでいう関心は、誰とでも仲良くすることではなく、他者を同じ共同体の一員として見ることです。

It is A who … はAを強調する構文。It is people who support each other who build strong teams.(強いチームをつくるのは、支え合う人々です)と展開できます。

7. The happiness of mankind lies in working together.

The happiness of mankind lies in working together, in living as if each individual had set himself the task of contributing to the common welfare.

人類の幸福は、ともに働くこと、一人ひとりが共通の幸福に貢献する課題を自らに課したかのように生きることにある。

lie in … は「…にある」、contribute to … は「…に貢献する」。競争に勝って価値を証明するのではなく、自分にできる貢献を見つける。劣等感から共同体感覚へ向かうアドラーの道筋が見える言葉です。

初心者なら Happiness comes from working together.(幸せは協力することから生まれます)と言い換えられます。

「課題の分離」はアドラー本人の名言?

「課題の分離」は、アドラー心理学を日本語で理解するうえで便利な整理です。ただし、SNSで見かける「それはあなたの課題ではない」のような日本語文を、そのままアドラー本人が残した名言と考えるのは慎重であるべきです。

アドラーは、人が他者を支配できないことや、自分の人生の課題へどう向き合うかを論じました。一方で、彼の思想は他者との切断ではなく、協力と共同体感覚を重視します。「他人は関係ない」で終えると、アドラーの重要な半分を落としてしまいます。

フロイト・ユング・アドラーの違い

  • フロイト:抑圧、欲動、過去の葛藤など、隠れた原因を読む
  • ユング:夢や象徴を通して、意識と無意識を統合し個性化へ向かう
  • アドラー:経験に与える意味、目標、勇気、他者との協力を見る

三人は同じウィーンの心理学史に置かれますが、問いの向きが異なります。フロイトの英語の名言ユングの英語の名言と読み比べると、その違いが立体的に見えてきます。

名言から覚えたいコア英語

  • be determined by …:…によって決められる
  • give meaning to …:…に意味を与える
  • a feeling of inferiority:劣等感
  • be afraid of -ing:〜することを恐れる
  • from another’s point of view:他者の視点から
  • lie in …:…にある
  • contribute to …:…に貢献する

勇気とは、一人で強くなることではない

アドラーの言葉をつなぐと、経験に新しい意味を与え、不完全なまま水に入り、他者の目で世界を見て、共同の課題へ参加する流れが現れます。

勇気とは「誰にも頼らず強くなること」ではありません。できない自分を隠さず、それでも人との間に入り、自分にできる一歩を差し出すこと。英語学習も同じです。完璧になってから話すのではなく、相手と意味をつくる会話のなかで少しずつ学んでいきます。

思想家・科学者の言葉を読み比べる
哲学者・思想家・科学者の英語の名言集では、問い・知識・経験・自己理解というテーマから、それぞれの人物の言葉をつないでいます。

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参考資料

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