
仕事ができる人や、その道のベテランが珍しくミスをしたとき、日本語では「弘法も筆の誤り」と言います。
英語でいちばん分かりやすく伝えるなら、Even experts make mistakes.(専門家でも間違えることはある)が自然です。英語にも Even Homer sometimes nods. という古典的なことわざがありますが、日常会話では少し文学的。相手や場面に合わせて使い分けましょう。
まず答え
自然で分かりやすい:
Even experts make mistakes.
優しく励ます:
Nobody is perfect.
英語のことわざらしく言う:
Even Homer sometimes nods.
Contents
「弘法も筆の誤り」の意味
弘法とは、書の名人として知られる弘法大師(空海)のことです。そんな達人でも、ときには筆を誤る。つまり、どれほど優れた人でも失敗することはあるという意味です。
人のミスを責めるためというより、「あの人ほどの人でも間違えることはある」「一度の失敗で実力すべてが否定されるわけではない」と、少し距離を置いて受け止める言葉です。
使いやすい英語は Even experts make mistakes.
Even experts make mistakes. は、直訳すると「専門家でさえ間違える」です。日本固有の弘法大師を説明せず、ことわざの意味をそのまま伝えられます。
A: I can’t believe our manager made that mistake.
B: Even experts make mistakes.
A: 部長があんなミスをするなんて信じられない。
B: どんな達人でも間違えることはあるよ。
expert は専門家ですが、実際の会話では一人の人物だけを指すというより、「経験豊富な人でも」という一般論として使えます。
英語のことわざ Even Homer sometimes nods.
Even Homer sometimes nods. は、「ホメロスでさえ、ときには居眠りする」という意味のことわざです。ここでの Homer は、古代ギリシャの叙事詩人ホメロス。優れた詩人の作品にも、ときには出来の悪い箇所があるという考えから使われます。
意味は「弘法も筆の誤り」にかなり近いものの、現代の日常会話ではやや古風で文学的です。英語好きの相手との会話や、文章に少し教養のある響きを出したいときには面白い表現です。
Even Homer sometimes nods. One small error doesn’t change her reputation.
弘法も筆の誤りだよ。小さなミス一つで、彼女の評価が変わるわけではない。
相手を励ますなら Nobody is perfect.
Nobody is perfect. は、「完璧な人はいない」という、とても自然で使いやすい表現です。相手が自分の失敗に落ち込んでいる場面では、ことわざをそのまま訳すよりも、こちらの方が温かく聞こえることがあります。
A: I should have noticed the typo.
B: Nobody is perfect. You can fix it.
A: 誤字に気づくべきだった。
B: 完璧な人はいないよ。直せば大丈夫。
似た言い方に We all make mistakes.(誰にでも間違いはある)もあります。「弘法」のような達人に限らず、相手と同じ目線で励ましたいときにぴったりです。

3つの英語表現の違い
- Even experts make mistakes.
意味が直接伝わり、仕事でも日常でも使いやすい。 - Nobody is perfect.
失敗した本人を優しく励ますときに自然。 - Even Homer sometimes nods.
意味は近いが、古風で文学的なことわざ。
仕事で使える例文
ベテランの小さなミスについて
She’s one of our most experienced designers, but even experts make mistakes.
彼女は社内でも特に経験豊富なデザイナーですが、専門家でも間違えることはあります。
自分のミスを認めるとき
I’ve done this for years, but I made a mistake. Nobody is perfect.
何年もこの仕事をしていますが、間違えました。完璧な人はいませんね。
同僚を励ますとき
Don’t be too hard on yourself. We all make mistakes.
そんなに自分を責めないで。誰にでも間違いはあるよ。
「猿も木から落ちる」との違いは?
「猿も木から落ちる」も、「得意な人でも失敗する」という意味で、ほぼ同じ場面に使えます。
違いをあえて言えば、「弘法も筆の誤り」は非常に優れた名人でも誤るという少し格調のある響き。「猿も木から落ちる」は、得意なことでも失敗するという親しみやすい響きがあります。英語では、どちらも Even experts make mistakes. と表せます。
また、「失敗は成功のもと」は、失敗から学んで次の成功につなげることが中心。「弘法も筆の誤り」は、名人にもミスがあるという事実を受け止めることが中心です。
初心者なら、この簡単な英語から言ってみよう
Even experts make mistakes. が少し長く感じるなら、まずは次の短い英語で十分です。
- Nobody is perfect.
完璧な人はいないよ。 - We all make mistakes.
誰でも間違えるよ。 - It happens.
そういうこともあるよ。 - Don’t worry.
心配しないで。
たとえば、同僚が小さな間違いで落ち込んでいたら、It happens. Don’t worry.(そういうこともあるよ。心配しないで)だけでも、十分に気持ちは伝わります。
まとめ
「弘法も筆の誤り」を英語で分かりやすく言うなら、Even experts make mistakes. が最も実用的です。相手を励ますなら Nobody is perfect. や We all make mistakes.、英語の古典的なことわざとして表すなら Even Homer sometimes nods. が使えます。
難しい英語を無理に使わなくても、It happens. の一言で「誰にでも失敗はある」という優しさは伝えられます。









