
海外旅行中、急に胸が痛くなった、息ができない、顔の片側が下がった、喉が腫れてきた――。このような場面では、難しい病名を英語で言い当てることよりも、見えている異変・いつ始まったか・どれほど緊急かを短く伝えることが重要です。
この記事では、胸痛・呼吸困難・脳卒中の兆候・重いアレルギー反応など、緊急性の高い症状を伝える英語をまとめます。旅行者が診断を断定せず、救急要請につながる情報を簡単な英語で伝えるための中間ガイドです。
医療上の注意:この記事は英語表現の学習を目的とし、自己診断や治療判断を促すものではありません。胸の強い痛み、重い呼吸困難、突然のまひ・言葉の異常、喉や舌の腫れ、意識消失などがある場合は、滞在国・地域の緊急番号へ連絡してください。緊急番号は国によって異なります。
Contents
まず覚えたい「緊急です」の英語
| 英語 | 意味・使い方 |
|---|---|
| This is an emergency. | 緊急事態です。最初に緊急性を明示します。 |
| Call an ambulance now. | 今すぐ救急車を呼んでください。 |
| We need medical help. | 医療の助けが必要です。 |
| It started suddenly. | 突然始まりました。 |
| They are getting worse. | 症状が悪化しています。 |
emergency は「緊急事態」、urgent は「急を要する」という意味です。救急通報の冒頭では、説明を長く始めるより This is an emergency. と明確に言うほうが伝わりやすくなります。
緊急性の高い症状を英語でどう伝える?
1.胸が痛い・締めつけられる
My chest hurts. は「胸が痛い」の最も簡単な言い方です。圧迫感なら My chest feels tight.、押される感じなら I feel pressure in my chest. と言えます。
- The pain is spreading to my arm and jaw.(痛みが腕と顎に広がっています)
- It started ten minutes ago.(10分前に始まりました)
- I feel sweaty and short of breath.(汗が出て、息苦しいです)
胸の痛み・圧迫感が突然起こり、腕・首・顎・背中などに広がる場合や、息苦しさ・冷や汗などを伴う場合は緊急対応が必要になることがあります。詳しい表現は「胸が痛い」を英語で伝える記事で確認できます。
2.息ができない・呼吸が苦しい
I can’t breathe well. は「うまく呼吸できません」。まったく呼吸できないと言い切る必要がないときは、I’m having trouble breathing.(呼吸が苦しいです)や I’m very short of breath.(ひどく息切れしています)も使えます。
- They are gasping for air.(あえぐように息をしています)
- They cannot speak in full sentences.(文を最後まで話せません)
- Their lips are turning blue.(唇が青くなっています)
short of breath は息切れ・息苦しさ、difficulty breathing は呼吸困難という広い表現です。原因を推測せず、呼吸の様子をそのまま伝えましょう。詳しくは「息苦しい・息切れ」の英語記事をご覧ください。
3.ろれつが回らない・顔の片側が下がっている
突然の言葉の異常は Their speech is slurred.、顔の片側が下がっている状態は One side of their face is drooping. と表せます。
- They cannot raise one arm.(片腕を上げられません)
- They suddenly became confused.(突然、混乱した状態になりました)
- It started at about 2:30 p.m.(午後2時30分ごろに始まりました)
脳卒中が疑われる場面では、発症時刻が医療者にとって重要な情報になります。ただし旅行者が stroke と断定せず、It may be a stroke.(脳卒中かもしれません)としたうえで、実際に見えている異変を続けて伝えるのが安全です。詳しくはろれつ・顔の片側の下がりを伝える記事へ。
4.喉や舌が腫れた・重いアレルギー反応
Their throat is swelling.(喉が腫れています)、Their tongue is swollen.(舌が腫れています)、They are having trouble breathing.(呼吸が苦しそうです)のように、目で見える状態を短く伝えます。
- They ate peanuts a few minutes ago.(数分前にピーナッツを食べました)
- They have a severe allergic reaction.(重いアレルギー反応が出ています)
- They may be having anaphylaxis.(アナフィラキシーかもしれません)
allergic reaction はアレルギー反応全般、anaphylaxis は急速に進む生命を脅かす重い反応を指します。本人が処方されたアドレナリン自己注射器を持っている場合は、その人の医療上の指示や製品説明に従い、同時に救急要請を行います。詳しくは重いアレルギー反応・アナフィラキシーの英語記事で解説しています。
5.意識がない・けいれんしている
意識がない場合は They are unconscious.、呼びかけに反応しない場合は They are not responding. と伝えます。けいれんは They are having a seizure. が一般的です。
- They are breathing.(呼吸はあります)
- They are not breathing normally.(正常な呼吸ではありません)
- The seizure has lasted for five minutes.(けいれんが5分続いています)
詳しい使い分けと注意点は、意識がない・気を失ったときの英語とけいれんを伝える英語をご覧ください。
簡単な英語で乗り切る|3ステップ

- Call an ambulance now.
今すぐ救急車を呼んでください。 - They cannot breathe well.
うまく呼吸できません。 - It started suddenly.
突然始まりました。
この3つだけでも、必要な行動、現在の異変、始まり方を伝えられます。本人について話すなら They を I に変えて、I cannot breathe well. としてください。
しゅみすけ(大山俊輔)
救急通報で伝える順番
| 順番 | 伝える内容 | 英語例 |
|---|---|---|
| 1 | 緊急性 | This is an emergency. We need an ambulance. |
| 2 | 場所 | We are at the main entrance of Central Hotel. |
| 3 | 主な異変 | She has severe chest pain and cannot breathe well. |
| 4 | 発症時刻 | It started suddenly about ten minutes ago. |
| 5 | 意識・呼吸 | She is conscious and breathing. |
住所が分からないときは、ホテル名、空港のターミナル、駅名、店舗名、目印などを伝えます。救急車を頼む会話全体は「救急車を呼んで」の英語記事で詳しく紹介しています。
場面別の会話例
胸痛を救急通報で伝える
Caller: This is an emergency. Please send an ambulance.
Dispatcher: What happened?
Caller: My friend has severe chest pressure. The pain is spreading to her left arm.
Dispatcher: When did it start?
Caller: About five minutes ago. She is awake but short of breath.
脳卒中の可能性がある異変を伝える
Caller: My father may be having a stroke.
Dispatcher: What signs do you see?
Caller: One side of his face is drooping, and his speech is slurred.
Dispatcher: When was he last normal?
Caller: He was normal at 9:10. The symptoms started around 9:15.
重いアレルギー反応を伝える
Caller: She is having a severe allergic reaction.
Dispatcher: Is she breathing?
Caller: Yes, but she is wheezing and her tongue is swollen.
Dispatcher: Does she have an adrenaline auto-injector?
Caller: Yes. We are following her emergency instructions now.
診断を断定しない英語
| 断定を避ける表現 | 意味 |
|---|---|
| It may be a heart attack. | 心臓発作かもしれません。 |
| It could be a stroke. | 脳卒中の可能性があります。 |
| They may be having anaphylaxis. | アナフィラキシーかもしれません。 |
| I don’t know the cause. | 原因は分かりません。 |
may be や could be を使えば「可能性」として伝えられます。そのあとに Her chest feels tight. や One side of his face is drooping. のような観察事実を続けましょう。
医療上の注意|待たずに緊急番号へ連絡するサイン
公的医療情報では、次のような状態は直ちに救急要請が必要になり得るサインとして挙げられています。
- 突然の胸の痛み・圧迫感が続く、または腕・首・顎・背中へ広がる
- あえぐ、窒息しそう、言葉を続けられないほどの呼吸困難
- 突然の顔・腕の片側の弱さ、ろれつの異常、混乱
- 喉・舌・唇の急な腫れ、喘鳴、呼吸困難、意識低下
- 反応がなく正常に呼吸していない
- 初めてのけいれん、5分を超えるけいれん、意識が戻らない、呼吸が難しい
安全情報は、NHS「Chest pain」、NHS「Shortness of breath」、CDC「Signs and Symptoms of Stroke」、NHS「Anaphylaxis」、NHS「What to do if someone has a seizure」を参照しています。番号や医療制度は滞在国・地域によって異なるため、現地の案内に従ってください。
関連する海外医療・救急英語
まとめ
緊急性の高い症状を英語で伝えるときは、病名を難しく説明する必要はありません。Call an ambulance now.、They cannot breathe well.、It started suddenly. のように、行動・異変・時刻を短い文で伝えてください。自己判断で様子を見続けず、重大なサインがある場合は滞在国・地域の緊急番号へ連絡しましょう。
事故・重大症状から入院・検査・手術・退院・保険までの全体像は、海外の救急・入院・手術で使う英語にまとめています。
激しい腹痛から虫垂炎が疑われる場面は、盲腸・虫垂炎を英語で伝える記事も確認してください。
食べ物などで気道が塞がった場合は、「喉に詰まった・窒息しそう」の英語を確認してください。
毒物・洗剤の誤飲や薬の過量摂取が疑われるときは、「毒を飲んだ・誤飲した」の英語で、何を・量・時間を伝える表現を確認できます。
溺水後の意識・呼吸の異変を伝えるときは、drowning・drowned・inhaled waterの違いも確認してください。
感電後に反応・呼吸・胸の症状を伝える表現は感電・electric shockの英語も確認してください。










