
「どうすればできるか」が見えないと、私たちは動けなくなりがちです。しかし、エイブラハム・リンカーン(Abraham Lincoln)は、まず「できる、そして実行する」と決めれば、そこから道が見つかると語りました。
リンカーンの言葉には、努力だけでなく、分断・自由・和解を語るための力強い英語が詰まっています。この記事では、議会演説や就任演説など原文を確認できる言葉から5つを選び、初心者向けに単語・文法・使い方を解説します。
出典について
リンカーンには、本人の発言と確認できない名言も数多く流通しています。本記事では、米国議会図書館(Library of Congress)や米国国立公園局(National Park Service)で原文を確認できる言葉を中心に掲載しています。
Contents
エイブラハム・リンカーンとは?
エイブラハム・リンカーン(1809–1865)は、第16代アメリカ合衆国大統領です。南北戦争のさなかに国を率い、奴隷解放宣言を発した人物として知られています。
ただし、歴史上の人物を単純な英雄物語だけで捉えることはできません。ここでは人物を礼賛するのではなく、実際の演説や文章から、現代にも使える英語表現を学びます。
リンカーンの英語の名言5選
1. まず「実行する」と決め、道を見つける
Determine that the thing can and shall be done, and then we shall find the way.
Abraham Lincoln, 1848
日本語訳:それは実現できるし、実行するのだと決めよう。そうすれば、私たちはその方法を見つけるだろう。
この記事にもともと掲載されていた言葉です。1848年、リンカーンが連邦議会で国内の公共事業について述べた演説に原文が残っています。
determine は「決定する」。単なる decide よりも、強い意志を込めて「決意する」という響きがあります。
- I decided to study English.(英語を勉強することにしました)
- I am determined to improve my English.(英語を上達させると固く決意しています)
shall は現代の日常会話では限られた場面で使われますが、この文では「必ずそうする」という強い意志を表します。find the way は直訳すると「道を見つける」。ここでは「実現する方法を見つける」という比喩です。
出典:Library of Congress – Speech on Internal Improvements, June 20, 1848
2. 分断した家は立ち続けられない
A house divided against itself cannot stand.
Abraham Lincoln, 1858
日本語訳:内側で分裂した家は、立ち続けることができない。
1858年の「House Divided Speech」で使われた有名な一文です。もともとは聖書に由来する表現で、リンカーンは奴隷州と自由州に分かれた国家の状態を説明するために引用しました。
divide は「分ける」、be divided は「分かれている」。against itself は「自分自身に対立して」という意味です。
- The team is divided.(チームの意見が割れています)
- We should not turn against each other.(私たちは互いに敵対すべきではありません)
家庭や職場で使うなら、人そのものを否定するのではなく、「目的が共有されていない」「意見が分かれている」と状態を表す英語として応用できます。
出典:National Park Service – House Divided Speech
3. 人民の、人民による、人民のための政治
Government of the people, by the people, for the people, shall not perish from the earth.
Abraham Lincoln, Gettysburg Address, 1863
日本語訳:人民の、人民による、人民のための政治を、この地上から消滅させてはならない。
ゲティスバーグ演説の結びとして知られる一節です。ここでは3つの前置詞が役割を分けています。
- of the people:人民に属する
- by the people:人民によって行われる
- for the people:人民のための
perish は「滅びる・消滅する」。日常会話では少し硬い単語ですが、歴史・理念・文化が失われる文脈で使われます。
前置詞の違いは、短い例でも確認できます。
- This is a story of courage.(これは勇気についての物語です)
- It was written by her.(それは彼女によって書かれました)
- This gift is for you.(この贈り物はあなたのためです)
出典:Library of Congress – Gettysburg Address, Hay Draft
4. 私たちは敵ではなく、友人である
We are not enemies, but friends. We must not be enemies.
Abraham Lincoln, First Inaugural Address, 1861
日本語訳:私たちは敵ではなく、友人です。敵同士になってはなりません。
not A, but B は「AではなくB」という基本構文です。短く、対比が明確なので、会話でも文章でもよく使われます。
- It is not a problem, but an opportunity.(それは問題ではなく、機会です)
- I need advice, not criticism.(批判ではなく、助言が必要です)
must not は「〜してはいけない」。do not have to(〜する必要はない)とは意味が違うので注意しましょう。
- You must not give up.(諦めてはいけません)
- You do not have to hurry.(急ぐ必要はありません)
この演説の最後には、the better angels of our nature(私たちの本性のより良い部分)という表現も登場します。対立の中でも、人間の良心に働きかけようとする言葉です。
出典:Library of Congress – First Inaugural Address
5. 誰にも悪意を抱かず、すべての人に慈愛を
With malice toward none; with charity for all.
Abraham Lincoln, Second Inaugural Address, 1865
日本語訳:誰にも悪意を抱かず、すべての人に慈愛をもって。
南北戦争が終結に近づいていた1865年、2度目の大統領就任演説で語られた一節です。
malice は「悪意」、charity はここでは募金活動ではなく「慈愛・寛容」の意味。toward none と for all が鮮やかな対比になっています。
- She showed kindness toward everyone.(彼女は誰に対しても親切でした)
- We need respect for all.(私たちにはすべての人への敬意が必要です)
相手に同意することと、相手への悪意を手放すことは同じではありません。この言葉は、意見の違いを残したまま関係を修復する英語としても読めます。
出典:Library of Congress – Second Inaugural Address
初心者が覚えたい重要表現
determine to do:〜すると決意する
- I am determined to continue.(続けると決意しています)
- She determined to try again.(彼女はもう一度挑戦すると決めました)
not A, but B:AではなくB
- English is not a test, but a tool.(英語は試験ではなく道具です)
- Start small, not perfect.(完璧ではなく、小さく始めましょう)
find a way:方法を見つける
- We’ll find a way.(何とか方法を見つけます)
- Let’s find a better way.(もっとよい方法を探しましょう)
元の名言では find the way ですが、日常会話で「何らかの方法を見つける」なら find a way が自然です。
名言を自分の英語に変える6フレーズ
- I am determined to do it.(それをやると決めています)
- We’ll find a way.(何とか方法を見つけます)
- We are on the same side.(私たちは同じ側にいます)
- Let’s not turn against each other.(互いに敵対するのはやめましょう)
- It is not a failure, but a lesson.(失敗ではなく、学びです)
- Let’s move forward together.(一緒に前へ進みましょう)
長い名言をそのまま暗記する必要はありません。まずは We’ll find a way. のような短い一文を、自分の状況に重ねて声に出してみましょう。
リンカーンの言葉から学べること
5つの言葉に共通するのは、単なる「努力すれば成功する」という話ではありません。
- 実行すると決めてから方法を探す
- 分断の構造に気づく
- 誰のための行動かを考える
- 対立しても相手を人間として扱う
- 勝った後に、関係をどう修復するかを考える
英語学習でも同じです。「話せるようになったら使う」のではなく、使うと決めてから、自分に合う方法を見つける。その小さな順番の変化が、学びを前へ進めます。
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